震災の経験と共に、震災後の復興支援活動でエベレスト登頂に挑戦したこともいまの考えの根底を築いたという。
「東日本大震災の後に色々な支援活動をやっていて、そのひとつにエベレスト登頂に挑戦をしました。福島の人たちにも色々なことにチャレンジしてもらうきっかけ作りになればいいと、登山は初心者だったんですが挑戦してみました。結局、3回失敗して、4回目に成功しました。2015年、3回目の登頂を失敗した時にネパール大地震に遭遇したんです。エベレストのベースキャンプで被災して、あやうく死にかけました。東日本大震災を経験しているので、震災の経験が支援に生かせるかと思い、現地に滞在していたら、ネパールの人たちのほうがよっぽどたくましかった!(笑)」
ネパールでも大地震を経験したなすびは、色々なことを考えさせられた。
「ネパールでは普段から電気や水やガスなどのライフラインがないところに暮らしている人々もいて、今回の需要ひっ迫警報のように日本では散々ライフラインって慌てるけど、首都のカトマンズですら夏場(乾季)は、昼間に数時間とか電気が止まったりする。それでも別にみんな“そうなんだ”という感じで暮らしている。水道も、例えば“ネパール大地震の前は1時間かけて水を運んでいたけど、地震のおかげで近くに水が湧き出した! 地震のおかげで生活がラクになったよ”なんて言ったりする。インフラが整っていると、もちろん便利は便利です。ただ、そういう有事の時に、同じ人間だけど、元々備わっている力から言うと果たしてどちらが優れているのか考えさせられた。どちらが本当の豊かさを享受しているのかと思った。物質的には日本で暮らしていたほうが豊かなのかもしれないけれども、生きるための力と言ったらネパールの方たちのほうがはるかに上。大地震後に手助けしようと思っていたのに、逆に教えられてしまいました」
そんな経験が冒頭のTwitterの書き込みだったのだ。