※写真はイメージです(写真/Getty Images)
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 がんの3大療法の一つである放射線治療は、その機器や技術の進歩によって高精度照射が可能になっている。週刊朝日ムック『手術数でわかるいい病院2022』では、全国の病院に対して独自に調査をおこない、病院から得た回答結果をもとに、手術数・治療数の多い病院をランキングにして掲載している。ここでは、「がん放射線治療」の解説記事とともに、高精度照射の「強度変調放射線治療(IMRT)」「体幹部定位放射線治療(SBRT」の治療患者数が多い病院を紹介する。

【ランキング】放射線治療患者数が多い病院は?

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 放射線治療は、手術、薬物療法と並ぶがんの3大療法の一つだ。手術と同様にがんとその周辺だけに働きかける局所療法だが、「切らずに済む」ことからさまざまなメリットがある。

 最大のメリットは、臓器の形態や機能を温存してがんを治せること。声を失うことなく喉頭がんを治すなど、重要な機能にかかわる場所にできたがんに放射線治療が活用されている。メスを入れないので痛みもなく、からだへの負担も少ない。筑波大学病院の櫻井英幸医師はこう話す。

「超高齢化社会に突入した日本では、高齢のがん患者さんが急増しています。高齢者は心臓疾患や糖尿病など何らかの持病を併発していることも多いため、からだにかかる負担が少ないことは非常に大きなメリットです。手術は体力的に難しいけれど、放射線治療なら可能というケースは少なくありません」

 大半は入院の必要がなく、仕事や家庭生活を続けながら通院で治療できることもメリットの一つだろう。

■手術と同じように根治が期待できる治療

 放射線治療はほかの治療に比べると、あまり実力が知られていない。「手術ほどの効果は得られないのでは」などと考えがちだが、

「がんの部位やタイプなどによる得手不得手はありますが、手術と同じように『根治』が期待できる治療です」

 と櫻井医師は言う。根治的な放射線治療には、単独でおこなう方法、化学療法と併用する方法、手術と組み合わせる方法がある。前立腺がんや子宮頸がんなどは手術と同等の成績を挙げており、肝がんなども、病期(病気の進み具合)によっては放射線単独で治癒できる。また、化学療法と併用する放射線治療は肺がんや食道がんなどで、手術に近い成績を挙げている。手術との組み合わせでは、乳がんの乳房温存術後に再発予防目的でおこなう照射が代表例だ。

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放射線治療の照射法の違い