
蜷川実花監督作品「ホリック xxxHOLiC」で主演を務める神木隆之介さんがAERAに登場。芝居の醍醐味を聞かれると、「他人になれること。一種の現実逃避です」と答えた。AERA 2022年4月11日号から。
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累計1400万部を超えるCLAMPの人気コミック『xxxHOLiC』が原作の映画「ホリック xxxHOLiC」の主役・四月一日君尋(わたぬききみひろ)を演じる。
「CLAMPさんの原作には独特の世界観があるんですよね。言葉遣いも所作もすごく美しく見える。監督の蜷川実花さんの世界観がそもそも美しいので、この映画は“美しい×美しい”なんです。その世界観をどう演じたらいいんだろうというプレッシャーはありました」
実際、「すごく難しかった」という。
「実花さんが頼りがいのあるオッケーを出してくれて、そこはお任せしてやっていました」
28歳にして役者のキャリアは27年に及ぶ。だが、さまざまな役を演じてきたからといって、「自身の成長を感じたことはない」とにこやかに言い切った。

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「去年、2回目の舞台(『パ・ラパパンパン』)に出演した時に、『僕ってこんなにセリフが覚えられるんだ!』と手応えを感じたんですけど、それは毎公演繰り返し同じセリフを話すという舞台の性質ゆえだった。次の作品ではセリフを忘れたり噛んだりして、あれは一時的なものだったんだと気付きました(笑)」
第一線で活躍を続ける秘訣を問うと、「人や作品に恵まれた」と笑う。
「僕自身は何もできないですから。会社で働いたこともないし、持っている資格は運転免許だけ、楽器も踊りもできない。うまい絵が描けるわけでもない。周りからは『高校生みたいにノリが良いね!』と言われ続けているので、それが強みかもしれません。永遠の高校生(笑)。演技の世界は何が正解かわからない、ふわふわしている世界でもありますから」
人懐こい笑顔を浮かべながら、時折ベテランならではの信念を覗かせる。“俳優・神木隆之介”の凄みだろう。
(ライター・小松香里)
※AERA 2022年4月11日号