理想とするリーダーは、古代ローマの指導者だったユリウス・カエサルで、本棚には何冊も関連書があった。太陽暦の導入や議会の議事録を残すなどその時には必要性が理解されなくとも、一人だけ別次元の視座で将来のために必要な仕組みを作り上げていった点に惹かれるという。

 日本でも世界でもリーダーの言動や決断に翻弄されるのは、いつも普通の市民だ。東はそのことを誰よりも理解しつつ、時には嫌われることも厭(いと)わない。それは彼がリーダーとは何かを考え続けてきた結果でもある。(文中敬称略)

■あずま・しゅうへい

1988年 大阪府四條畷市に生まれる。小学校時代は合唱部の活動以外はテレビゲームに熱中。中学に入ると自分で決意してテレビにテープで×印をつけゲームを封印する。

2004年 大阪府立四條畷高校入学。3年間、文化祭の実行委員会に没頭する。私服OKにもかかわらず、高校時代は学ラン、昼食は学食のカレーで通す。

07年 京都大学工学部物理工学科入学。中学時代に雑誌「Newton」で知った未来のエネルギーへの希望を抱き、核融合炉を研究したいと原子核工学を学ぶ。

11年 東日本大震災による福島第一原発事故を目の当たりにし、進路を変更。研究室にあった先輩の参考書を見て、官僚を目指す。2カ月弱の準備で合格。

14年 国家的視点を持って仕事をしたいと外務省に。TPPなど経済政策を担当する経済連携課に配属される。尊敬する先輩の死をきっかけに、第2次安倍政権が打ち出していた地方創生に触発され、地方から日本の課題を解決したいと市長を志す。

15年 マネジメントや経営を学ぶため野村総合研究所に転職。設立されたばかりのインド法人で勤務する。インド渡航直後に父の末期がんがわかる。

16年 インドから東京に出張するたびに四條畷に戻り、地元の課題を知る。父の死を機に、四條畷市長選出馬を決意。選挙資金には父親の退職金を充てた。

17年 現職市長との一騎打ちを制して、28歳で全国最年少市長に当選。公約に掲げていた副市長を全国から公募。

20年 財政健全化、子育て世代の転入増加などの実績を訴え、2期目当選。

(文・浜田敬子)

1966年生まれ。朝日新聞、AERA編集部、ビジネスインサイダージャパンなどを経て、現在はジャーナリスト。著書に『働く女子と罪悪感』(集英社文庫)。

AERA 2022年4月11日号

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