ウクライナからの避難民は400万人を超えた。最大の受け入れ国ポーランドをはじめ、欧州諸国では感動的ともいえる暖かい支援が行われている。
こうした支援活動はもちろん素晴らしいが、一方で、私の心には違和感も広がる。それは、昨年来、ポーランドが、アフガニスタン、シリアなどの難民に非常に厳しい対応をしてきたからだ。
凍てつく真冬のベラルーシとの国境からポーランドに越境してもポーランド当局によってベラルーシ側に送還される例が後を絶たず、水も食料も尽きて極寒の中で凍死する人も多く出た。ウクライナのケースとの落差はあまりにも大きい。
もちろん、ポーランド人の中にも、こうした難民の入国を助ける人々もいたが、多くは見て見ぬふり。逆に当局に密告する人もいた。
欧州の人が歴史的つながりの強いウクライナの人々により強い同情心を持つのは自然だ。また、ベラルーシが中東からの難民をポーランドに入国できると騙して招き寄せ、彼らを国境沿いに追いやってポーランドに混乱を生じさせようとしたという特殊事情もあった。
ただ、それを割り引いても、中東の難民への対応はあまりにも無慈悲だったのではないか。その背景には、中東やアフリカの人々に対する偏見がなかったのかどうか。それも気になる。
私は、ポーランドや他の欧州諸国を批判するためにこの問題を取り上げているのではない。実は、私たちにも当てはまることだから、あえてこの問題を提起しているのだ。
欧米の報道をそのまま垂れ流す日本のメディアを通じて海外の情報を入手する日本人は、どうしても欧米人の目を通してしか、世界の情勢を見ることができない。その結果、私たちの目は、アジアの一員たる日本人の目ではなく、欧米人の目になってしまっているような気がする。
現に、ミャンマーでの虐殺などを見ても、すぐ近くのアジア人が殺されているのに、遠くのウクライナの問題よりも小さなことのように感じている人が多いのではないだろうか。