近年の高校野球人気の高まりもあり、甲子園で活躍したスター選手となればドラフトで大きな注目を浴びる。プロ入り後もその動向にファンの視線が集中し、早い段階で結果を残すことが求められることも多くなった。
先日行われた春のセンバツ高校野球でも圧倒的な力で優勝した大阪桐蔭の選手たちのプレーが鮮明に残っている。捕手の松尾汐恩、外野手の海老根優大らドラフト候補が見事なパフォーマンスを見せ、世間の認知度が一気に増した。甲子園での活躍はインパクト抜群で、彼らがプロ入りとなればいやがおうにも期待は高まってくるだろう。
だが、プロの壁は当然厚い。甲子園ではケタ違いであったとしても、高卒の選手がプロですぐに活躍するケースはほとんどない。
21世紀に入ってから“プロ予備軍”として存在感を発揮している大阪桐蔭は、これまで中村剛也、森友哉(ともに西武)、中田翔(巨人)、平田良介(中日)など各球団の顔として活躍するプロ選手を数多く輩出してきた。18年には春夏連覇を達成し、同年秋のドラフトでは根尾昂(中日)、藤原恭大(ロッテ)、柿木蓮(日本ハム)、横川凱(巨人)の4人が指名され話題となった。
大いに盛り上がった第100回夏の甲子園で“主役”となった選手たちということもあって、プロ入り後も他の選手たちに比べ注目度も高いが、これまでのところ期待に応えることはできていない。
「4人はプロではまだ結果を残せていない。特に根尾に関しては周囲の期待を大きく裏切ってしまっている感もある。入団前には投打の二刀流でも注目されたが野手一本での挑戦を宣言。遊撃手のレギュラー候補として期待された。しかし今は試合出場もままならず今年からは外野登録になってしまった。しかし今年で22歳というのは大学4年生と同学年。プロ入り後の野手転向で3年間は育成期間ともいえ、ここからの活躍に期待したい」(中日担当記者)
日本ハムの清宮幸太郎と吉田輝星も甲子園のスターとしてプロ入りしたものの、ここまで苦しんでいる。今年は新庄剛志新監督の下、ともに飛躍を予感させているが、彼らも入団時の期待が高まり過ぎたがゆえに、世間の目は厳しい。