日々の生活のなかでちょっと気になる出来事やニュースを、女性医師が医療や健康の面から解説するコラム「ちょっとだけ医見手帖」。今回は「アニサキス症」について、NPO法人医療ガバナンス研究所の内科医・山本佳奈医師が「医見」します。
【データが示す】ワクチン種類別・追加接種後の予防効果の推移はこちら
* * *
オミクロン株の流行を受けて適応されていた「まん延防止等重点措置」解除から約1カ月が経ちました。規制の解除や第6波のピークアウトのおかげでしょうか。定期的に外来を受診されている方からは、「毎日出社するようになりました」という声や「在宅勤務の割合が減りました」という声が多く聞かれるようになってきました。日中の街は、すっかり元に戻ったかのような人の多さです。朝晩の通勤電車では、残念なことに滅多に座れなくなりました。
第6波はピークアウトしてはいるものの、新規感染者数は横ばいで推移している状況が続いています。風邪症状を認めて内科外来を受診される方も、ピークの時よりは減少したものの、そのような症状の方をみないという日はありません。PCR検査をすれば、3割程度で陽性が出る状態が続いています。
Our world in dataで世界各国のコロナ新規感染者数のグラフをみていると、感染者数の違いはあれど、日本の流行の波は世界の流行の波と同様のパターンを認めているように感じます。
もともと、ヒトコロナウイルス(新型コロナウイルスではない)の流行には、季節性があるのではないかと考えられていました。国立感染症研究所の報告書によると、「ヒトコロナウイルス感染症の月別の報告数の推移は、おおむね1~2月に多く、3~6月に減少し、7~10月にかけて少なく、11~12月にかけて増加する傾向にある」とあり、夏季(7~10月)の平均報告数は冬季(12~2月)の10分の1程度であったといいます。
日本と同じ北半球の温帯に位置し、年間を通じて気温の推移が比較的似ている米国においても、ヒトコロナウイルスの検出率は冬に高く夏に低いことが報告されています。ゆえに、北半球において、ヒトコロナウイルスは夏季に減少する季節性を持つ可能性があるのではないかと、考えられているのです。