John Bolton/1948年生まれ。長年にわたり公職に就き、トランプ政権では国家安全保障担当の補佐官を務めた。著書に『ジョン・ボルトン回顧録 トランプ大統領との453日』(朝日新聞出版)
John Bolton/1948年生まれ。長年にわたり公職に就き、トランプ政権では国家安全保障担当の補佐官を務めた。著書に『ジョン・ボルトン回顧録 トランプ大統領との453日』(朝日新聞出版)

 日本は台湾情勢に注意を払っているのを私は知っています。そして、中国の台湾に対する攻撃は、日本に対する攻撃に匹敵すると理解するべきだと多くの日本人が考えていると思うし、私もそれが正しいと思います。

 日本が標準的な国家なら、なぜ国家の自衛に責任を持たないのか、という理由について、日本国内で30年にわたり議論を呼んでいると理解しています。話し合いが始まれば、日米同盟を強化する次の論理的なステップだと思います。

 安倍晋三元首相が「ニュークリア・シェアリング(核共有論)」に言及したと聞きました。核の話題は、日本ではとてもとても微妙な問題というのも知っています。

 ただ、アジア地域一つとっても、中国と北朝鮮という現実的な脅威が存在するという世界に私たちは生きています。

 軍事面だけでなく、政治、経済においての中国の脅威をめぐっては、私たち、世界の考え方が今までとは別の形に進化しています。

■中国の脅威が増大する

 日本はNPT(核不拡散条約)加盟国で非核三原則がありますが、国家の安全がどう守られているかという現実についての議論をタブー視しないということは、とても重要なことだと思います。話し合い、議論し、何を国民が欲しているのか見極めるということです。

 また、日米豪印戦略対話(クアッド)の成長、インドやオーストラリアの役割などが際立ってきました。これらのことは、日本だけでなく、米国の市民も考えていくべきです。

 私たちは、想像を絶する変化を遂げた世界に住んでいます。

 西半球は、キューバ、ベネズエラ、ニカラグアの脅威にさらされています。そして、中国は国の規模からいって、21世紀最大の脅威でしょう。ロシアを加えると、ロシアが欧州の脅威になればなるほど、インド太平洋地域において中国の脅威が増すのです。ウクライナでの戦争は、それを浮き彫りにし、私たちは、脅威の真の姿をまだ把握していないのです。

 軍事面だけではありません。サイバースペースにおける脅威もあります。核兵器、化学兵器、生物兵器の拡散の脅威もあります。冷戦時代における状況よりも、現在ははるかに危機的で複雑なのです。

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