日米共同制作オリジナルドラマ「TOKYO
日米共同制作オリジナルドラマ「TOKYO VICE」は4月24日、WOWOW独占放送スタート(第1話無料放送)。毎週日曜夜10時(全8話)。出演/アンセル・エルゴート、渡辺謙、菊地凛子、ほか (c)BO Max / James Lisle

アンセル:撮影に入る時はまだあまりしゃべってなかったけど……。日本に住んでからは毎日、日本人と話しました。

渡辺:毎日着々と成長したね。現場でスタッフと話し、キャストと話し……。相当ハードワーカーでした。ドラマでアンセルと最初に会ったのは、第1話の死体現場。会ったというより、彼が僕の演じる片桐を見ているだけなんだけど、その時の片桐は、役と物語の性質上、アンセルが何者かわからない。ヘンな外国人が新聞記者を名乗って近づいてきたということで、彼のことを全然信じていないんです。そういう意味で、ドラマの中と同じくらいの距離を(ドラマの外でも)取り続けなければいけなかった。だから、撮影の日も挨拶(あいさつ)はしなかった。全然話さなかったよな。

アンセル:はい、僕も撮影の日まではジェイクと同じような気持ちでした。

渡辺:二人の関係は「相棒」とはちょっと違います。基本は片桐がリードする。日本のスタイルや、ヤクザと警察の位置関係、どういう接し方をすべきかなどを教えていくというか。でも、途中からジェイクが少し暴走を始めるという感じですね。

■せりふを丁寧に確認

アンセル:ジェイクは片桐を信用できるかどうか、確信できないんです。まわりの人すべてがヤクザのようですから。ジェイクが「信じられるのは誰か」と考えるのと同じように、ドラマを見る人もそう感じると思います。ジェイクは片桐を信頼できそうだと思うのですが、ときどき、彼はヤクザとうまくやってきた。大丈夫なのか?という思いも過(よぎ)る。そんなシーンが続くことで、このドラマはおもしろくなっているんです。

渡辺:とても繊細なせりふをキープしたり少し逸脱したり。そうしないと、ヤクザとの関係はすぐに崩れていく。ヤクザの怖さというものを、ジェイクは理解はしていないので、そこからまたドラマが動き始めます。

──アンセルは、渡辺を「レジェンド」だと言う。渡辺は本作でエグゼクティブ・プロデューサーを務め、新聞記者、刑事、ヤクザの独特のせりふの言い回しもチェックした。ジェイクの日本語と英語のせりふの微妙なニュアンスも話し合いながら確認していった。

アンセル:謙さんにはすばらしいアドバイスをいただきました。僕が学んだ日本語のせりふを英語で確認してくれたり、英語のせりふを日本語で言ってくれたり。僕が内容をより理解するように手伝ってくれたんです。

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