さらに、ウクライナ侵攻によって物価が高騰すれば国民の不満が高まり、一気に逆風になりかねない可能性も秘めている。
では、各選挙区の情勢を順に見ていこう。
北海道は、昨年の衆院選で道内選挙区の総得票数が自民約116万票、立憲約115万票という激戦地。野上氏が語る。
「自民・長谷川岳氏と、労組が軸になる立憲・徳永エリ氏は手堅く票を固めています。立憲が無所属の推薦候補としていた石川知裕氏を急遽(きゅうきょ)、公認に切り替えたのは自民・船橋利実氏をしのげると読んだからでしょう。立憲が2議席を得る可能性があります」
角谷氏は逆に自民が2議席を取ると予測する。
「石川氏は出馬表明が遅れたのがネック。長谷川氏がとにかく強く、徳永氏と船橋氏が続いて有利に展開しています」
東北は近年、TPP(環太平洋経済連携協定)や農協改革などを巡り“農家の反乱”が起き、自民候補は苦戦してきた。角谷氏は「青森や岩手など野党が盤石な選挙区もある」と指摘する。
なかでも自民党内が紛糾しているのが、山形だ。自公連立に国民民主を取り込みたい岸田首相が舟山康江氏に配慮し、候補の擁立を見送る方針を打ち出したのだ。党本部の方針に県連は反発するが、首相サイドが押し切ろうとしている。
角谷氏が指摘する。
「事実上の『自公国統一候補』として、今後、舟山氏が党籍を外れて無所属になるとか、国民民主から舟山支援の要請があるなどの動きがあると思います」
東京は混戦模様だ。自民はおニャン子クラブ元メンバーで俳優の生稲晃子氏を擁立。自民現職で元バレーボール選手の朝日健太郎氏、民進党代表を務めた立憲・蓮舫氏、都民ファーストの会代表の荒木千陽氏、盤石な組織票がある公明、共産の候補者らが争う。角谷氏が語る。
「荒木氏の背後にいる小池百合子・東京都知事が5月末に都内のホテルで政治資金パーティーを開きますが、明らかに微妙なタイミング。国政復帰を視野に入れている可能性があります。小池氏が全国区出馬という展開になると荒木氏も浮上する。その場合、都知事選挙とのダブル選も視野に入れておく必要がある。生稲氏は出馬発表が遅く、今は伸び悩んでいますが、今後猛追もあり得ます」