中国・四国ブロックは自民鉄壁とされるが、風穴をあけるかもしれないのが岡山だ。立憲と国民が推す無所属の黒田晋氏(前・玉野市長)が、自民・小野田紀美氏に挑む。野上氏が説明する。
「黒田氏は、農水相などを歴任した加藤六月氏の秘書を務めていた人物。公明の支持母体・創価学会とも良好な関係にあるとされ、この先、逆風が吹けば波乱の目になる」
山口は、安倍晋三元首相の元秘書・秋山賢治氏が、かつてのボスの「宿敵」のはずの立憲から出馬というサプライズ。地元政界関係者が語る。
「安倍元首相は地元人気に陰りが見える。昨年の衆院選で約8万票止まり。2017年より2万票以上も減らしてぶんむくれていた。元秘書を野党が担ぐなんて、かつてならあり得なかった。とはいえ、この人選はさすがにトリッキーすぎ。自民・江島潔氏が優勢でしょう」
愛媛は、元アイドルの無所属・高見知佳氏を立憲が支援する。前回参院選では、野党統一候補の永江孝子氏(無所属)が33万票超を集めて自民候補に圧勝。その永江氏に要請されての出馬とあって健闘が期待される。
長崎は、今年2月の知事選で保守が分裂、現職候補が敗れるという異変が起きたが、自民・山本啓介氏が優勢のようだ。
参院選の勝敗を左右するのは全国で32ある1人区で、野党共闘が不可欠だ。しかし、立憲は支持勢力の連合と、共産との板挟みに遭っている。連合の中でも電力総連、UAゼンセンなど旧同盟系産別は国民を支援しているからだ。どっちつかずの対応は、ドツボにはまるばかりだ。1人区での勝敗は、野上氏は自民の23勝9敗、角谷氏は21勝11敗と予測する。
野党の「自滅」に乗じて与党がフリーハンドで政権を握る時代が続くとしたら、その先に何が待ち受けているのだろうか。(本誌・亀井洋志、村上新太郎、佐賀旭)