トイレ入り口には、調査のため占有時間を測定していることをポスターで掲示していた。駅トイレの利用にはいつも使う“リピーター”も多いため、調査開始時(コロナ前)はポスターを見て長居をしなかった人も、だんだん慣れにより長居するようになった可能性もあるという。
では、高速道路のサービスエリアなどのトイレはどうか。
はるか昔は、サービスエリアのトイレに清潔な印象を抱かなかった人も多かっただろう。だが、近年は徹底した衛生管理などの効果で、見違えるほどキレイになったと感じられるようになった。
中日本高速道路(ネクスコ中日本)のデータによると、07年度に男性の個室の利用時間が209秒、女性が88秒だったのが、18年度は男性が264秒、女性が117秒と増加。利用時間は延びていたが、コロナ禍に入った19年度は男性が268秒と増加した一方、女性は112秒に減少、20年度は男性が284秒とさらに増加したが、女性のほうはなんと103秒とさらに減少した。
プライベートでの利用減
どうして女子トイレの利用時間が減ったのか。ネクスコ中日本の広報担当に聞いてみるも「(減った理由は)どうしてかわからない」と困惑した様子だ。
利用者に聞いてみると、「コロナの影響で男女の友だちなどと出かける機会が減り、身だしなみを気にする機会が少なくなったのではないか」(40代女性)、「マスクでメイクをあまり気にしなくなったのでは」(40代男性)といった意見が出た。なるほど、理解できなくもない。
では、専門家はどう見るか。トイレの混雑可視化サービスなどを提供するバカン(東京都千代田区)に分析を依頼。その見立ては、こうだ。
サービスエリアの場合、主な利用者には、
1. トラックなど運送業者による仕事での利用
2. 出張などの仕事での利用
3. 家族や友人との旅行といったプライベート利用
があると想定する。
1や2の「仕事での利用」となると、長時間の運転で十分な休息が必要となるケースも多く、トイレの使用目的として「トイレ+休息」となることが考えられる。他方で、プライベートの場合は「トイレ」のみが使用目的となりやすい。プライベートの場合は、外で待ち合わせることも多く、長居はしにくいと見る。