長時間利用している人たちが何をしているのか、気になるところだ。その実態を調べた貴重なデータがある。国土交通省が2016年に行った「日常でよく利用するトイレに関するアンケート調査」だ。

 駅トイレの「個室ブースで用を足す以外に何をしているのか」の調査結果を見ると、女性で最も多かったのは、「身だしなみを整える」で39.5%、次いで「着替え」23.4%、「化粧」21.1%となっている。一方、男性も最も多いのは「身だしなみを整える」29.8%、次に「着替え」12.5%と続き、「携帯電話やタブレット等の操作」が8.3%となっている。

 この結果をどう見るか。トイレのパーティションなどをつくるコマニー(石川県)研究開発課長の高橋未樹子博士(人間環境デザイン学)は、こう説明する。

「女性ではトイレの洗面台で化粧直しをしている人もいますが、女性同士でも人前で化粧をすることを恥ずかしいと思う人も多いです。また、トイレでスーツから私服に着替えたり、破れたストッキングをはき替えたりという人もいる。スマホが普及したことで、メールをチェックしたり、記事を見たり、ゲームをしたりとついつい長居してしまうことも、男女ともに多くなっていると見ています」

トイレでドライヤー使う

 国交省の調査では、意外な実態が垣間見られる。少ない割合に目をやると、「読書」が男性で0.2%、「睡眠」が女性で0.3%、さらに信じられないことに、食事が女性で0.5%、男性でも0.2%といった結果が出ていた。

 以前、トイレでの食事が増えていることが社会問題になったこともあった。実際にトイレでご飯を食べたことがあるという20代の男性はこう言う。

「トイレの個室は落ち着くんですよね。本格的なご飯は無理ですが、おにぎりくらいならいいかなと思って食べてましたね。お菓子を食べることもありますよ」

 トイレの想定外の利用はこれだけにとどまらない。前出の高橋氏が行った調査でもこんな人がいたという。

「温水洗浄便座用のコンセントを使って、パソコンを使ったり携帯の充電をしたりする人がいました。女性では髪の毛をくるくるさせるドライヤーを使っていたという声も。いずれもマナー違反です。コンセントが使えないように対策をするところも出てきているほどです」

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海外でもトイレの長時間利用が課題に