小説家・谷津矢車さん(写真:本人提供)
小説家・谷津矢車さん(写真:本人提供)
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 趣味を探しているなら、本を手に取ってみてはいかがだろう。AERA 2022年5月2-9日合併号の特集「今読みたい本120冊」では、各ジャンルの専門家がおすすめの本を10冊ずつ紹介。その中から、小説家・谷津矢車さんが選んだ「趣味を見つける」本をお届けする。

【谷津矢車さんオススメの10冊はこちら】

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 本は趣味の入り口となります。動画も趣味の入り口になりえますが、ジャンルによっては本の方が深くその醍醐味(だいごみ)に迫ることができます。そこで、様々な趣味の水先案内人となる10冊を選びました。

 まずは、『世界の辺境とハードボイルド室町時代』です。

 これは、日本の中世史専門の歴史学者とアフリカに造詣の深いノンフィクション作家という異色の2人による対談本です。

 この本の肝は、日本の中世社会と現代のアフリカ部族とは通じるものがあると明らかにしている点です。

 例えば、どちらの社会も盗みに対する罪が非常に重いなど、歴史好きや世界に関心がある人の好奇心を揺さぶってくれます。さらに、意外なAとBがつながっているという絵解き的楽しさもある一冊です。

 今ミステリーが人気ですが、いざ読もうと思っても数が多すぎて迷う人は少なくありません。かくいう私も、年に1千冊近く本を読む「本読み」のつもりでいますが、ミステリーはどの本を読んでいいのかわかりません。

 そんな人にお薦めなのが、『米澤屋書店』です。

 人気ミステリー作家の著者が20年にわたり様々な媒体で書きためてきたおススメ本を紹介していて、ミステリー本の入り口としてこれ以上の本はないと思います。さらに、著者の読書遍歴も知ることができる究極のファンブックとも言えます。

『落語家と楽しむ男着物』は、おそらく日本で着物を一番着ているであろう落語家の皆さんによる着物入門です。

 オークションサイトで反物を落札して知り合いに縫ってもらったという、裏技も紹介されています。

『絵を見る技術』もこれから絵画鑑賞を趣味にしたいと思っている人にぴったり。例えば、絵画は聖母マリアの近くにユリとバラを描くといった「お約束」が存在します。こうしたことを知っていれば、絵を鑑賞するときの楽しみや発見があります。

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