脳卒中の一つで発症すると致命的になる「くも膜下出血」は、脳動脈瘤(りゅう)とよばれる血管の瘤(こぶ)の破裂が原因となる。その破裂を予防したり、あるいは破裂した瘤の再破裂を防いだりする治療が脳動脈治療だ。週刊朝日ムック『手術数でわかるいい病院2022』では、全国の病院に対して独自に調査を実施し、回答結果をもとに手術数の多い病院のランキングを掲載している。今回調査した2020年の実績で、脳動脈瘤治療数が全国6位(九州・沖縄地区1位)になった福岡脳神経外科病院(福岡市)の理事長の風川清医師に、多くの手術ができる背景について聞いた。
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福岡脳神経外科病院は脳動脈瘤治療の治療数ランキングで、2019年の全国13位(治療数156件)から2020年の全国6位へと順位を上げ、手術数も前年比142%と増やした。
『手術数でわかるいい病院2022』では、脳動脈瘤の開頭手術と脳血管内治療の数を未破裂脳動脈瘤と破裂脳動脈瘤の内訳で調査している。
脳動脈瘤の開頭手術は、頭蓋骨を小さく切り開いて医師が目視のもとに脳動脈瘤をクリップで留める治療だ。クリップで、瘤へ流れ込んだ血流を遮断し、瘤をしぼませるという治療だ。根治性が高く、再発も少ない。一方の脳血管内治療は、足の付け根からカテーテルを挿入して脳動脈瘤の部位まで到達させて、瘤のなかに金属性のコイルを詰める治療だ。開頭しないためからだへの負担は少ない。治療後に再び瘤に血液が流れ込む場合もあり、再治療になることもあるが、近年では再発が減少し安定した治療として認められている。
脳動脈瘤は、未破裂の場合は、瘤の大きさや形状、発症部位などによって将来破裂する可能性の高い場合に予防的に治療をおこなう。一方の破裂脳動脈瘤は、破裂によってくも膜下出血を起こし、命に関わることもあるため緊急治療が必要だ。
そんな脳動脈瘤の治療において、福岡脳神経外科病院は、2020年の治療数221件のうち、脳血管内治療が213件(96%)を占める。理事長の風川医師はこう語る。