福岡脳神経外科病院理事長の風川清医師
福岡脳神経外科病院理事長の風川清医師

「当院は脳神経外科の専門病院で、入院する患者さんの6割が手術治療を受けますが、脳動脈瘤については、破裂動脈瘤であるくも膜下出血の治療は全体の1割程度で、未破裂脳動脈瘤の予防的手術が9割です。そしてそのほとんどに脳血管内治療をおこなっているというのが当院の大きな特色です。開頭しないからだにやさしい治療のため、脳ドックなどにより脳動脈瘤が見つかった患者さんが、医療機関からの紹介、あるいは口コミによって九州一円から訪れます」

 同院が数多くおこなう脳血管内治療には、近年、フローダイバーターという治療法が加わった。フローダイバーターとは、コイルによる治療と同じように、カテーテルを患部まで到達させ、瘤のネックのところでステントという金網を広げる。これは細かいメッシュ状の筒で、このステントにブロックされると、瘤内の血流は停滞し、血栓ができて固まり、瘤は時間とともに脳動脈に吸収されてなくなるのだ。

「フローダイバーターはすぐに治るという治療ではありませんが、数カ月から1年で大部分が治ります。この治療が2019年から増え、全体の治療数増加にも寄与しています」

 風川医師は、同院に赴任する以前、福岡徳洲会病院、福岡大学病院、福岡大学筑紫病院など福岡市および近郊の主要病院で長年、脳疾患の治療に従事してきた。

「27年間この地域で脳疾患の手術に従事してきました。これほど長く同じ地域で手術を続けている医師はおそらく少ないと思います」

 そんな背景も、同院、そして風川医師が強い信頼を得ている要因で、それが治療数にも反映しているようだ。

 同院は、脳血管内治療が中心のため、高齢の患者にとって体の負担が少ない治療を提供できる。しかし、実際に多いのは、早い社会復帰を希望する40代、50代の患者だ。

「当院は、他院、他県からの紹介の患者さんも多いですが、紹介状がなく、画像データなどの資料がなくて直接来院されても、その日のうちに検査をして治療方針を決めています。その気軽さから受診する患者さんも多いです。私たちが目指しているのは、手軽にアクセスできるけど、治療の中身は大学病院やナショナルセンターに比肩する病院でありたいということです。たとえが適切かどうかわかりませんが、患者さんにとってコンビニの気安さで受診することができて、デパートのようなサービスが受けられる医療機関でありたいと思っています」

(文・伊波達也)

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