※写真はイメージ(GettyImages)
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 子どもや孫のために暦年贈与をしたり、妻を思って自宅を夫婦の共有名義にしたり……良かれと思ってやったことが裏目に出ることもあるという。大切な老後資金が悲惨な末路をたどらないために、今すぐ知っておかなければいけないこととは?

【表】“老後資金の守り方” 贈与・相続、定年後で「やってはいけない」リストはこちら

>>前編「生前贈与や特例利用で損も!? やってはいけない“老後資金の守り方”」より続く

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 生前贈与を考える前に、人生の最終盤、どのような介護を受けたいのか、どこで最期を迎えたいのか、じっくり考えてから相続対策を考えるようにすると失敗しない。そう話すのは相続実務士で相続支援会社「夢相続」代表の曽根惠子さんだ。

※週刊朝日2022年5月20日号より
※週刊朝日2022年5月20日号より

「自宅を残すか、売却してそのお金で高齢者住宅に入るのか、その選択は難しいところ。また自宅を残そうと二世帯住宅を建てたり、アパート経営をしたりするとき、安易に借り入れをして負債を増やしてしまうことはお勧めできません」

 子どもたちが住まないとしても家を残したいと思ったら、好立地であれば賃貸で他人に貸す方法もある。自分たちが高齢者住宅に入った後も放置せず、賃貸すれば評価額減により相続税が減らせて、小規模宅地等の特例も使える。

 思いつきで財産を動かそうとせず、いくつかの選択肢からベストプランを選ぶようにすると失敗を回避できる。

 この春に35年住み続けた一軒家を売却して、賃貸マンションに移り住む決断を下したというのは、社会保険労務士でファイナンシャルプランナーの井戸美枝さん。

 夫婦2人ここで老後を過ごして、最期はそれぞれ介護施設に入ることを見越しての選択だったという。

「もしこの先、認知症になったら不動産の売却はできなくなりますので、マンションを買うのもやめました。不用品の処分が大変なので、体力のあるうちに移住しようと思いました」(井戸さん、以下同)

 井戸さんは親を看取った後、死後の手続きや実家の片付けに奔走した経験がある。子どもには同じ思いはさせたくないと、自分たちの荷物は極力少なくして、取引のない休眠口座は解約しておくといった“終活”に着手しているという。

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