「男性がレース下着? またまたご冗談を」
それが最初の感想だった。
昨年12月に大手下着メーカーのワコールから発売された男性用下着「レースボクサー」が売れに売れまくっている──。うわさを聞きつけ、真偽を確かめるべく都内の取扱店舗に足を運んだ。
レース下着と聞いて思い浮かぶのは女性物。レースボクサーも女性下着売り場に置いてあるのだろうか。アラフォー男性が足を踏み入れた瞬間に白い目で見られるのではないか。気が気ではなかったが、そんなことはなくひと安心。
男性下着売り場に各ブランドのトランクスやボクサーパンツが並ぶなか、レースボクサーは異彩を放っていた。
周囲の目を少し気にしながら手に取る。花柄のレースに、裾は直線ではなく波のようなデザインが施されている。そして、手を通してみると見事に透ける。これまでの一般的な下着と比べれば、セクシーだと言わざるを得ず、自身が着用している姿をうまく想像できない。本当に売れているのか。販売員に聞くと「今置いてあるものだけで在庫はありません。これが最後です」。いったい誰が買っているのか。
「意外にも年配の方もよく買っていかれます。ストレッチがよく利きますし、通気性がいいから選ばれているのかもしれません。誰に見せるかなどを気にしなければ、選択肢に入るのでしょう」
通気性は年を重ねるにつれ見逃せない点だ。恥ずかしげもなく記者の下着遍歴をつまびらかにすれば、小学生時代のブリーフから中高生時代のトランクス、大学生から社会人にかけてボクサーパンツに移行。しかし、ここ数年はトランクスに回帰しつつある。通気性を重視したからだ。
ボクサー型でありながら通気性も確保できるとあれば、試してみるしかあるまい。税込み3960円。多少お高めだが、お買い上げした。
帰宅後、家族の目を盗み、胸の高鳴りとともに着用してみた。
意外としっくりくる。これが着用時の第一印象だ。全身鏡で見てみても、いわゆる“うっふん感”はない。ごわつきもない。通気性についても、丸一日着用したところ、普段着用しているコットンやポリエステルがメインのボクサーパンツに比べて快適に感じた。