
日本にとって脅威と見なされているのは中国である。中国が台湾を武力攻撃すれば、当然、米国は台湾を守るために中国と戦う。その場合に日本はどうすべきか。台湾有事は日本有事であり、当然、日本も戦わざるを得ず、そのために防衛力を強化すべきとして、核共有論まで出ている。
こうした捉え方は危険というよりも、実は間違っているのである。
去年の4月16日に行われたバイデン・菅会談。従来は米国で新大統領が就任すると、まず英国やフランスとの首脳会談が行われることが多かった。ところが、バイデン大統領はいきなり米日首脳会談を行った。
なぜバイデン氏は日本を最初の会談相手に選んだのか。緊迫する米中関係について、バイデン氏が日本に非常に期待しているからである。
米国務省筋では、2024、25年あたりに中国が台湾に武力攻撃すると予測されている。そうなれば当然、米国は台湾を守るために中国と戦わなければならない。だがバイデン氏は、本当は中国と戦争したくないのだ。だから、そうした事態が生じないようにと日本に強く期待しているのである。
そして日本はその期待に応えるべきである。
田原総一朗(たはら・そういちろう)/1934年生まれ。ジャーナリスト。東京12チャンネルを経て77年にフリーに。司会を務める「朝まで生テレビ!」は放送30年を超えた。『トランプ大統領で「戦後」は終わる』(角川新書)など著書多数
※週刊朝日 2022年5月27日号