
109、101、37……。見渡せば、切りの悪い数字がたくさんある。私たちはなぜこうした半端な数にひかれるのだろうか。AERA 2022年5月23日号より紹介する。
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アニメ「101匹わんちゃん」。考えてみれば、切りの悪い数字だ。いや、きっと101にした意味があるはず……とやけに考えてしまう。ドラマ「101回目のプロポーズ」やオーディション番組「PRODUCE101」もそう。
一般的に切りのいい数字が歓迎されるが、半端な数字にも底知れぬ魅力がある。
商品パッケージや看板など身近な世界でも切りの悪い数字がたくさん使われている。ほかにも渋谷駅前には「渋谷109」の看板。少し歩くとマルイのロゴ「0101」もある。
『つれづれなる数学日記』の著書がある文筆家の鯵坂もっちょさん(35)が気になるのは、「割り切れる数字かどうか」だという。
「看板もそうですし、病院で番号札をもらったとき、車のナンバーを見かけたときに、何の倍数かなと素因数分解したくなるんです。下1桁が1のような素数っぽい数字を見ると、『お、これは』と割り切れるかどうかチャレンジしたくなります」
モブな数字も輝き出す
学生時代、数学が苦手で赤点を取ったこともあった。それでも切りの悪い数字に面白さを感じるのは、想像させられるから。
「好きな数字は37です。111って割り切れなさそうな雰囲気を漂わせていますが、実は37で割り切れる。111という単純な数字から、37×3が出てくるなんて想像つかないじゃないですか。11111も同じで、41×271で割り切れる。漫画で、モブ(その他大勢)キャラだと思って関心がなかったのに、キャラの人生を知ると、ぐっと好きになることがありますよね。それと同じでモブな数字もこんな性質があると気づくと輝いて見えることがあると思います」
ベストセラー本のタイトルにも切りの悪い数字が少なくない。例えば12万部発行の『やる気に頼らず「すぐやる人」になる37のコツ』(大平信孝氏著)。かんき出版の編集者、重村啓太さんは「あえて37にした」と話す。