出馬を考えたのは、本当にごく最近のことだという。15日、川崎市の溝の口駅前で山本氏の街頭演説があった。そこに博士は「自称ジャーナリスト」として訪れ、山本氏に質問した。
「4月25日かな、松井一郎・大阪市長から訴状が届きました。名誉毀損の裁判を5月30日、大阪地裁でやるんですが、裁判費用は莫大(ばくだい)にかかります。被告になってテレビ、ラジオに出られないということになれば、政敵をテレビ、ラジオに出演させないために訴える方法があるわけです。反スラップ訴訟の法律をつくりたい。れいわさんで今後、反スラップ訴訟の立法化について努力してくれるかをお聞きしたい」
2月13日、博士はツイッターで松井市長を批判したYouTube動画を紹介した。これに対して、松井市長は「水道橋さん、これらの誹謗中傷デマは名誉毀損の判決が出ています。言い訳理屈つけてのツイートもダメ、法的手続きします」とツイッターで応戦。本当に訴訟沙汰に発展したという経緯がある。
博士はこの訴訟について、権力を持つ地位にある者が弱い者の口を封じるために訴訟を起こす「スラップ訴訟」だと主張しているのだ。
博士の質問に対して、山本氏はこう答えた。
「(水道橋さんは)自称ジャーナリストから政治家になったらどうですか。自分自身がスラップの被害者であるならば、その立場に立って立法していくというのはかなり説得力のある話なんです。(供託金は)うちから出しますから、うちから出てください。どうでしょう?」
博士はまんざらでもない様子で「検討します」と応じた。
これが発端となり、博士の「出馬」が現実味を帯びた。
「立候補は(山本氏とのかけあいで生じた)偶然の産物です。それから3日間、出馬のための調整をしました」
博士が最初に相談したのは、妻と娘だった。
「妻には(街頭演説翌日の)16日に打ち明けました。泣いていましたね。本当にかわいそうでした。そういうことが好きなタイプの女性ではないので。妻は『家計の持ち出しになるのは絶対に嫌だ』『子どもの教育費を残してほしい』ということをずっと言っていました」