育児漫画『わが子ちゃん』を出版した峰なゆかさん(撮影/松永卓也)
育児漫画『わが子ちゃん』を出版した峰なゆかさん(撮影/松永卓也)
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ドラマ化もされた人気漫画『アラサーちゃん』の著者である峰なゆかさんが、異色の「育児漫画」を出版した。峰さんの妊婦時代の経験から、誰も書けなかった本音を赤裸々に描いた『わが子ちゃん』(扶桑社)は、これまでの育児漫画とは一線を画した意欲作だ。慈悲と優しさにあふれた「聖母」のような妊婦像を押し付けてくる社会に対して、ウィットに富んだ毒を含む表現を駆使しながらあらがい、本音で生きようとする「妊婦・峰なゆか」の姿は痛快ですらある。著者本人に、数々のエピソードの裏話を聞いた。

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 取材場所のカフェに現れた峰さんは、トレードマークだった黒髪のロングヘアを鮮やかなピンクアッシュに染めていた。その理由を聞くと、

「小さい子どもがいると、無遠慮に話しかけてくる人が多くて、それがイヤなんですよ。髪を派手にすれば話しかけられないと思って染めたんですけど、効果てきめんでした」

 育児中の女性に“あるある”の悩みを吐露しながらも、ユーモラスな返しが、いかにも峰さんらしい。

 4月に出版した『わが子ちゃん』(1巻)では、峰さんの妊娠から出産前までが描かれている。世間から押し付けられる妊婦のイメージや“正しい”とされる妊婦マインドをことごとく蹴散らし、独特の表現で女性の「本音」をつづった。

 執筆は出産したその日からスタートさせたという。

「みんなが『産んだら(妊娠中の苦労や)痛みを忘れちゃうよ』と言うので、忘れないうちに書かなきゃと思い、産んだ30分後にはiPadを開いてメモしていました。私の場合、妊娠中からつわりがひどくて、これを漫画にしてお金に変えないとやってられないな、と思っていたんです」

 作品には妊婦の心の内を赤裸々に描いた場面が数多くあるが、序盤から、表立っては語られづらい「流産」についても触れている。妊娠初期で流産する確率は約15%もあることを踏まえたうえで、これをおなかに銃口を向けられた「ロシアンルーレットと同じ確率」(6分の1)と表現した。

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「2人分食べなきゃね」の違和感