――カナとの絆は物語のカギでもある。演じる加藤柚凪との絆はどう築いているのか。
眞栄田:めちゃめちゃ仲いいですよ。普段からマサ、カナで呼び合っています。昨日(取材の前日)はセットの撮影が最後だったんですが、指輪をもらったんです。「プロポーズ?」って聞いたら、「違う!」って(笑)。僕から関係を築いたというよりは、柚凪ちゃんから娘と父親というか、後輩先輩というか、そんな関係性を築いてくれた。人見知りしない子で、最初のうちから似顔絵や折り紙などをくれていました。いつも楽しくやっています。
僕は子どもが好きなので、違和感なくすんなり入れました。ただ、マサは「子どもだから」ということはなく、誰にでも平等みたいなところがあります。だけど話を重ねるごとにどんどん普通のお父さんになっていく。その様も魅力だと思います。
背中押してもらった
――2019年、映画「小さな恋のうた」で俳優としてデビューした。コロナ禍でも出演依頼は途切れることがない。この三余年で、俳優としての意識を変えた人や作品との出会いがあった。
眞栄田:デビュー作は僕にとってすごく大きかった。この作品に出会わなかったら、絶対に役者をやってないと思うし、やりたいとも思わなかった。「小さな恋のうた」のプロデューサーや監督、いろいろな人との出会いやご縁があって背中を押してもらい、「やってみよう」と踏み出せたことが大きかったと思います。
現場での居ずまいや作品に向かう姿勢を学んだのは、昨夏のドラマ「プロミス・シンデレラ」です。二階堂ふみさんと共演させていただいたことが大きかったと思います。
――特に感じ入ったのは、二階堂の「俳優としてのスタンス」だったと振り返る。
眞栄田:二階堂さんは周りをよく見ている方でした。何より「自分はこうしたい」という意見を持っている。もし、例えば話の流れをよくするために、台本に辻褄の合わないことがあったとしたら、「それでは気持ちがつながらない」ということもきちんと話す。「その通りだな」と思うことが何度もありました。
それは作品をより良くするための主張で、彼女が監督とディスカッションしている姿を見て、僕も演じる側として自分の意見を伝えようと思ったんです。監督といい意味でぶつかり、ディスカッションする。その結果、台本以上のシーンができあがったら、みんながハッピーになるでしょう。士気が高まり、現場の雰囲気も良くなります。ポジティブなスパイラルができるという体験をして、そういうふうに仕事をしたいと思うようになりました。