先月、プロ初完投を史上16人目の完全試合で飾ったロッテの佐々木朗希投手(20)。その後、判定に不服な態度を示し、球審に詰め寄られる出来事が大きく報じられた。背景を探っていくと、ヒーローを渇望する球界の姿が浮き彫りになってきた。
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京セラドームで5月14日に行われたオリックス対ロッテ戦でロッテの井口資仁監督が暴言退場となり、翌日の同カードでもロッテのレアードが退場処分となった。パ・リーグで同じチームから2試合連続で退場者が出るのは27年ぶり。しかも、パ・リーグで3回しかない出来事だという。
「あんなに怒った井口監督を初めて見ましたが、あれは明らかな誤審。しかも九回2死一、二塁でフルカウント。あの一球がボールなら満塁だったのに、逆に三振でゲームセットですからね。そりゃ怒りますよ。そんな感じで連勝が止まり、ロッテ側はイライラしていたでしょう。で、翌日の二回、先頭打者のレアードが3球三振してキレた訳ですが、あのジャッジは、おかしいとは思わなかった。レアードには、球審が、あの白井審判だ、という気持ちがあったんでしょ」(球界関係者)
あの白井審判……同球場で先月24日に行われた同カードで先発したロッテの佐々木朗希投手が判定に不服な態度を見せ、それを諭そうとしたようだが、マウンドに詰め寄ったのが白井一行球審で、その行為が問題視され、NPBと選手会が反応する事態となった。
だから27年ぶりの2試合連続退場という異例事態の背景にはロッテ側の、審判への不信感があるのでは、と見えた。
「いや、そもそも白井球審と佐々木の件を100対0で白井球審が悪いように報じた我々スポーツメディアが悪いんです」
ベテランの野球記者は自嘲気味に語り出した。
「まず、取材していた記者に聞くと、あの日の佐々木は確かに球審のジャッジに不満そうなジェスチャーをしていた、と。で、オリックスの山崎颯一郎投手も不満げで、それが試合進行の妨げになっていたそうです」