
バター好きの夢といえば、冷えたバターの1本バー丸かじり。グニュッとした歯触りのあと口いっぱいに広がる桃源郷を彷彿とさせる魅惑のバタースイーツが、あなたを誘う。AERA 2022年5月30日号より紹介する。
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バターを主役にしたスイーツが、溶けるか溶けないか、くらいの絶妙な温度でジワジワと注目されている。バタークリームをサブレで挟んだバターサンドが、2022年の流行スイーツになるとの予測もあるほどだ。
バターサンドといえば、六花亭の「マルセイバターサンド」など、サブレにレーズンを混ぜたバタークリームを挟んだものが王道だが、最近はさまざまな進化系も登場している。
代表格は、カフェを展開する「TABLES(タブレス)」の堀江バターサンドだ。
■どんどん延びる行列
「日本一分厚いバターサンドを作りたい」と17年に売り出した。2~3センチはあるクリームの厚さの割には、あっさり食べられるようクリームの配合と軽さを調整し、意外にペロリと食べられてしまうので注意したい。
まるで円筒形のマリトッツォのような萌(も)え断系は、「フェルム ラ・テール 美瑛」のバターチーズサンド。季節の果実を使った限定品も、マニアの楽しみに。一部商品は冷凍でのお取り寄せもできる。

発酵バターのおいしさを日本に広めたフランス産A.O.P.認定発酵バター「エシレ」の専門店のひとつ「エシレ・パティスリー オ ブール」でも、「サブレ サンド」というバターサンドが人気になっている。

そもそも日本でバタークリームのおいしさが知られるようになったのも、「エシレ・メゾン デュ ブール」のバターケーキ「ガトー・エシレ ナチュール」がきっかけとされる。昔、木型に入れて成形していたバターの形を模したビジュアルも麗しく、09年に東京・丸の内に開店した当時から話題になっていた。オープン前の行列は、年を追うごとに延びているようだ。

「バタースイーツが注目されるようになったのは、エシレのような発酵バターが知られるようになったことも大きいと思います。お菓子にしたときにバターの芳醇な香りが楽しめるなど、発酵バターはお菓子作りにも向いているんですよ」(エシレ・メゾン デュ ブールの広報担当者)