バターのいとこ バターのいとこ/ミルク(3枚入り、864円)。栃木・那須では3カ所で販売。サマンサタバサの羽田空港第1・第2ターミナル各店でも購入できる。あんバター(同972円)はサマンサタバサの新千歳空港店限定(撮影/写真映像部・高野楓菜)
バターのいとこ バターのいとこ/ミルク(3枚入り、864円)。栃木・那須では3カ所で販売。サマンサタバサの羽田空港第1・第2ターミナル各店でも購入できる。あんバター(同972円)はサマンサタバサの新千歳空港店限定(撮影/写真映像部・高野楓菜)

■沼から抜け出せない

 使われているクリームの半量がエシレバターという、とびきり上質な背徳スイーツ。バターが舌の上でとろける至福を一度でも味わったら、沼から抜け出せないことを、覚悟されたし。

 バターの“親戚”といえる無脂肪乳を使ったユニークなバタースイーツも注目されている。栃木県那須町の銘菓、その名も「バターのいとこ」だ。

 バターは牛乳から約4%しか採ることができない貴重品。残った無脂肪乳は、脱脂粉乳として安価に売られているという。とはいえ、無脂肪乳も地元の酪農家が愛情込めて作った牛乳の一部。その価値を高め、酪農家がバターを作り続けられるようにと生まれたのが、このお菓子だった。バターが香るワッフル生地の間に、無脂肪乳で作ったミルキーなジャムをたっぷり。アップサイクルの試みも注目され、今や那須を代表するお土産のひとつになった。

 バタースイーツ人気のもうひとつの原動力といえるのは、あんバターの存在だ。

 どんなあんこでも、どんなバターでも、二つの素材が出合えば、たちまち甘じょっぱな絶品に。スーパーの菓子パンから、フランスに本店があるブランドパン屋さんまで、いろんな場所であんバターのパンを見かけるようになった。


■1本いける悪魔の菓子

 ずるい甘じょっぱと、背徳感のダブル仕立てで、これがまずいわけはない。

あんバタロール 岡田謹製 あんバタ屋/東京駅の東京ギフトパレットに1店舗のみ。あんバタロール(1944円)は、1日40本限定で毎日午後2時から販売開始だが、販売開始直後に売り切れることもある。あんバタフィナンシェも大人気(撮影/写真映像部・高野楓菜)
あんバタロール 岡田謹製 あんバタ屋/東京駅の東京ギフトパレットに1店舗のみ。あんバタロール(1944円)は、1日40本限定で毎日午後2時から販売開始だが、販売開始直後に売り切れることもある。あんバタフィナンシェも大人気(撮影/写真映像部・高野楓菜)

 例えば、東京駅の東京ギフトパレットにある「岡田謹製あんバタ屋」の数量限定「あんバタロール」だ。午後2時からの販売開始にめがけた行列は、ギフトパレットのおなじみの風景に。そうして手に入れたそれは、甘じょっぱの塩梅(あんばい)が絶妙で、何なら1人で1本いけてしまう悪魔のお菓子となっている。

あんバターサンド スターバックス/「若い方から年配の方まで、あらゆる世代に人気があります」(広報担当者)というスタバの新名物あんバターサンド(300円)。分厚いバターとあんこが、コーヒーともよく合う(撮影/写真映像部・高野楓菜)
あんバターサンド スターバックス/「若い方から年配の方まで、あらゆる世代に人気があります」(広報担当者)というスタバの新名物あんバターサンド(300円)。分厚いバターとあんこが、コーヒーともよく合う(撮影/写真映像部・高野楓菜)

 もうひとつ、スターバックスの店頭商品「あんバターサンド」も、近所で買える絶品あんバターパンとして、ネットで紹介している人が多い。コーヒーを買うときにガラスケースにふと目をやると、悪魔が手を振って勧めてくる。

コンビニお菓子もバター化進行中/コンビニも魅惑のバタースイーツに出合える場所。クッキーなどの焼き菓子やチョコレート、バター色の見かけからしてまさにバターを食べているような「かじるバターアイス」(赤城乳業)もバター好きのハートをつかむ(撮影/写真映像部・高野楓菜)
コンビニお菓子もバター化進行中/コンビニも魅惑のバタースイーツに出合える場所。クッキーなどの焼き菓子やチョコレート、バター色の見かけからしてまさにバターを食べているような「かじるバターアイス」(赤城乳業)もバター好きのハートをつかむ(撮影/写真映像部・高野楓菜)

 すべて実食して、数千キロカロリーを摂取してしまった。とはいえ、何せおいしいので、長引くコロナストレスのはけ口にはぴったりだ。今年のスイーツ界のキーワードはこれで決まり。レッツ背徳!(ライター・福光恵)

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