仕事にやりがいを感じていている人でも、労働環境がブラックな人でも、転職を考えている人の多くは「人間関係」に悩み、それを主な転職理由としています。気まぐれな上司、言うことをきかない部下、一方的に敵視してくる同期……組織とは人がつくり、人で成り立つものであるがゆえに、人間関係の悩みは尽きません。自分が所属する組織の中でどう振る舞い、どのように人間関係を築くかは、決してAIには代替できない「最強のスキル」なのです。特に規律を重んじる官僚組織では、それはより顕著になります。内閣府の元官僚・久保田崇さんはハードな現場で「処世術(スキル)」を武器に生き残ってきました。その一部を『官僚が学んだ究極の組織内サバイバル術』(朝日新書)より抜粋。今回は「人間関係で最も注意を払うべきは直接の上司」というテーマで、上司との接し方で気をつけるべき6つのポイントを紹介します。
【写真】財務省「パワハラ上司ランキング」で同期最速の幕内入りを果たしたキャリア官僚
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私は若いころは上司との付き合い方がわからず、上司の機嫌が悪い時に話しかけて話も聞いてもらえなかったり、理不尽な指示をもらって悩み、朝寝床から起きられないほどの腰痛や気持ち悪い手の指のイボに悩まされたことがあります。
しかしこれは、上司にも問題があるかもしれませんが、私自身に上司を観察することや上司の立場に立って仕事を進める視点が欠けていたのだとのちに気づきました。
実際、機嫌の良い時を見計らって話しかけるようにしたら怒られる回数が(ゼロにはなりませんでしたが)大幅に減りましたし、上司とよくコミュニケーションをとるようにしたら理不尽な指示も少なくなりました。
このように言うと、上司の顔色をうかがうような仕事のやり方は嫌だ、自分のペースで仕事をしたいと思う方もいることでしょう。私も一面ではそう思いますが、上司は人事などの権限を持っている以上、上司とうまくやれなければ人事評価や人事異動に影響することを忘れてはなりません。