こうした「自由放任」のスタンスは、ツイッターの共同創業者で、昨年CEOを退任したジャック・ドーシー氏とも近い。米証券取引委員会(SEC)に提出されたツイッターの文書によると、マスク氏は実際、買収交渉が表面化する前の3月下旬、ドーシー氏に複数回連絡をして、アドバイスを受けている。

 ただツイッターが持つ世界的な影響力と比べ、収益力は大きく劣る。昨年の純損益は2年連続の赤字。1日あたりの利用者数は約2億人で、フェイスブック(FB)や写真投稿アプリ「インスタグラム」を運営する米メタ(利用者数約28億人)、動画投稿アプリ「ティックトック」(10億人超)と比べ、大きく水をあけられている。

 マスク氏は経営面での改革案にも触れている。ツイッターは収入の約9割を広告に頼るが、マスク氏は「月2ドル以下」の定額制にする考えを披露。米ニューヨーク・タイムズ紙は5月、マスク氏が投資家に売り込んだ際、「昨年に50億ドルだった売上高を、2028年までに264億ドルと5倍にする」「広告への依存を5割以下に下げる」などの案を伝えたと報じた。(朝日新聞サンフランシスコ支局長・五十嵐大介)

AERA 2022年6月6日号より抜粋