
ツイッターの株価は5月23日時点で37ドル台。1株あたり54.20ドルの買収価格を大きく下回り、投資家が買収の実現を疑問視していることを示している。米ウェドブッシュ証券のダニエル・アイブス氏が言う。
「マスク氏は買収価格の引き下げか、10億ドルの解約金を払って合意を撤回しようとしているようにみえる。これはサーカスのショーであり、ツイッターとテスラの株主両方にとって、難しい状況が続くだろう」
4月に入って急激に動いたツイッターの買収劇。そもそもマスク氏の狙いは何なのか。
「ツイッターが、表現の自由のための包摂的な場所であることは、とても大事だ」
ツイッター買収の意向が報じられた4月14日。カナダのバンクーバーで開かれたイベント「TED」の対談の冒頭、買収について問われたマスク氏は、開口一番そう答えた。
「ツイッターは事実上の公共の広場になった。法律の範囲内で、人々が自由に話ができると感じられることがとても重要だ」
■錦の御旗に掲げるのは、表現の自由と透明性向上
マスク氏がツイッター株の9%を取得し、大株主になったのが明らかになったのが4月4日。14日に買収提案を表明し、直後にツイッター側が買収防衛策を導入。交渉は長期化も予想された。だがマスク氏が資金調達の詳細案を出した直後の先月25日、わずか10日ほどで「合意」となった。
マスク氏が買収の大義名分に掲げたのが、表現の自由と透明性の向上だ。
「ツイッターがすべきことの一つは、アルゴリズム(計算手順)をオープンソースにすることだ。投稿が強調されたのか、そうでないのか、そうした行動も明らかになるべきだ」
マスク氏はツイートが表示される順番を決めるアルゴリズムを公開し、ツイッター側が特定の投稿を引き上げたり、引き下げたりした場合は、それ自体を説明すべきだと訴えた。そして、投稿に対する「介入」も減らす姿勢を示している。
「ツイート(の良しあし)がグレーの場合、ツイートをそのままに残したい。答えがあるわけではないが、投稿の削除や(アカウントの)永久凍結には、とても慎重でいたい」