よく知られている物語の主人公や、人気ゲーム、国民的人気番組の名前を加えることで、映像が浮かびやすくなりますよね。お互いに知っているものに例えると、話し手と聞き手が同じイメージを共有できます。
■日ごろから、なんでも例えてみる
例え表現がより一層パワーを発揮するのが、あなたの感情や感覚を伝えるときです。
何かのエピソードを話すとき、「そのとき自分はどう感じたのか」を言葉にできると、相手の心は動きます。「私はこう思った」と共感しやすい「例え」を入れながら話すことで、より具体的に感情を伝えられ、相手をリアクションに困らせません。
例えば、最近体験したこんな場面。以前通っていた本屋さんがいつの間にか、コンビニエンスストアに変わっていることに気づき、なんとも言えない気持ちになったことがありました。
そのときの感情を例えるなら、
<以前行きつけだった本屋さんが、いつの間にかコンビニに変わっていたんだ。悲しかったな。例えるなら、初めての一人暮らしで住んでいたマンションが駐車場になっていた……そんな寂しい気持ちだよ>
「例え」をまじえて伝えることで、こちらの気持ちの方向が伝わりやすくなりませんか。相手も「わかるよー」と、同じような体験を話してくれるかもしれません。会話の糸口にもなるのです。
こういった「例え」は使い慣れていなければ、すぐには思い浮かばないもの。まずは、日常生活の中で、ゲーム感覚でなんでも例えることから始めてみてください。印象に残る体験、目についた情景、気になった人物などを、「どんなふうに例えられるかな?」と考えてみるのです。
「夏休み最終日に泣きながら宿題を片付けるちびまる子ちゃんの気持ち」「ジェットコースターで最初にゆっくり上がっていくゾワゾワした瞬間」「バスにタッチの差で乗り遅れて、ダメ元で『おおーい!』と手を振ってみる無力感」など。その感情が何と似ているかな、と考えると、結構楽しいもの。習慣になっていけば、頭の中に自然と「例えの回路」ができていきます。