石井さんはそう自身の思いを話した。そして、ロッキード事件に関しても、

「今だから言うが、あの頃、オヤジに話をしてアメリカから資料を大量に取り寄せて、なんとか無罪である証明をしようと動いていた。新聞広告でひそかに、英訳できる人を探すなど、検察と対決しようと、一発逆転を狙って動いていた。そのチームの一人が、村木さんの事件のK氏だったのも、不思議な因縁があるもんだ」

 と打ち明けた。

 2013年に議員バッジを外した後も、石井さんの得意なジャズを聞きながらワインをごちそうになったり、政治の舞台裏をよく聞かせてもらったりしていた。

 今年3月、息子の石井登志郎氏が、兵庫県西宮市長選に2期目をかけて出馬した時も、わざわざ現場まで来て、選挙演説をしていた石井さん。

 豪放磊落(らいらく)のように見えるが、筆者のような週刊誌記者にも、どんなにたくさんの人がいても、顔を見ると必ず近寄って声をかけてくれた気配りの政治家だった。

 ご冥福をお祈りいたします。

(AERAdot.編集部・今西憲之)

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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