エリザベス女王を囲むロイヤルファミリー。プラチナ・ジュビリーの今年はいっそう注目が高まる/2018年7月10日、ロンドン(photo gettyimages)
エリザベス女王を囲むロイヤルファミリー。プラチナ・ジュビリーの今年はいっそう注目が高まる/2018年7月10日、ロンドン(photo gettyimages)

 エリザベス女王の即位70年に沸く英国で存在感を増すヘンリー王子夫妻。米政界入りを探ったり、英王室批判を繰り広げたりと、波瀾万丈な「メーガン劇場」が続いている。AERA 2022年6月13日号の記事を紹介する。

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 ヘンリー王子の妻、メーガン(40)さんの生い立ちに重なる部分もある、ネットフリックスで制作予定だったアニメーションシリーズ「パール」の制作中止に加えてメーガンさんを不快にしたのは、英王室作家ティナ・ブラウン氏の新刊『パレス白書:ウィンザー朝の内幕~真実と混乱』(日本語版未発売)が明かした内容だった。本には王子夫妻が2018年にオーストラリアを訪問した際、メーガンさんが常に嫌悪感を抱いていたとの記述があった。「公務って的外れ」と言い放ち、シドニーのオペラハウスに集まった大勢の人たちに「いったい何が目的かしら。理解できない」と見下すかのようなコメントをしたという。

 ネガティブな描写にイメージ悪化を懸念したメーガンさんは、スタッフに「戦わないといけない」ともちかけた。ダメージコントロールの最善策として、米国の有名司会者、オプラ・ウィンフリーさんのインタビュー第2弾を企画した。昨年3月に彼女の質問を受けた時、世界中から反響があった。王室内の人種差別をほのめかしたり、自殺を考えるほど苦しんだのに王室は何もしてくれなかったと打ち明けたりした。すでにウィンフリーさんに打診済みとされるが、返答に関する報道はまだない。

オランダ・ハーグを訪れたヘンリー王子とメーガンさん/4月17日(photo gettyimages)
オランダ・ハーグを訪れたヘンリー王子とメーガンさん/4月17日(photo gettyimages)

 そんなメーガンさんが心弾む思いをしたのは、バイデン米大統領(79)の妹バレリー・バイデン・オーエンズさん(76)の発言だ。彼女が4月に出版した自伝に関するテレビ出演をした際、メーガンさんの政界進出を前向きに捉えた言葉が出た。

 彼女はデラウェア州で高校教師をしていたが、バイデン氏が交通事故で妻と娘を失ったことで辞職、兄一家との同居を決めた。兄の2人の子どもを支え、選挙活動ではキャンペーンマネジャーを務めた。番組の中でオーエンズさんが「メーガンさんを民主党は歓迎します。きっとよい大統領候補になると思います」と言った。たとえ社交辞令だとしても、かねて大統領への夢を持つメーガンさんには心強いことだった。

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多賀幹子

多賀幹子

お茶の水女子大学文教育学部卒業。東京都生まれ。企業広報誌の編集長を経てジャーナリストに。女性、教育、王室などをテーマに取材。執筆活動のほか、テレビ出演、講演活動などを行う。著書に『英国女王が伝授する70歳からの品格』『親たちの暴走』など

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