ちなみに、食物繊維には果物や海藻などに多く含まれる「水溶性食物繊維」と野菜やイモ類などに多く含まれる「不溶性食物繊維」の2種類があります。不溶性は水に溶けないので、便の量を増やして便通をよくする作用がありますが、腸への刺激にもなるので、「IBS(過敏性腸症候群)」の人は水溶性を多めにしたほうがいいということです。
■水はまとめてではなく、こまめに取るのがコツ
適度な油も便通をよくしてくれます。
そして、便をやわらかくするために欠かせないのが水分です。夏は暑さで脱水しがち、冬は水分摂取量が減りがちなので、年間を通して意識的に水分を取るようにしたいですね。
水分はまとめてよりも、こまめに取るほうがトータルの摂取量が多くなると、鳥居医師は言います。
「湯飲みを手元に置いてこまめに飲むのがおすすめです。夜は寝床の近くに置いておき、起きたときに飲めば、脳梗塞の予防にもなります」
便の状態を整えたら、運動で腸の働きをよくしてお通じを促しましょう。高齢者にもすすめられるのがウォーキングです。
「普段歩いていない人は5~10分からでも取り入れてみましょう。腸を刺激するストレッチや腹筋を加えると、なお効果的です」(鳥居医師)
■腸マッサージは5つのポイントをやさしく押さえる
「の」の字マッサージとして古くから知られている腸のマッサージも、効果が期待できるといいます。正しいやりかたは、便やガスのたまりやすい腸の曲がり角を中心とした5カ所を、順番にやさしく押していくというものです(イラスト参照)。
「たまっていたガスが動き、腸の働きがよくなります。マッサージをしながら聴診器をあてると、腸が動くのが、音でわかりますよ」(同)
横浜市立大学病院消化器内科診療科部長の中島淳医師は、習慣づけの重要性を訴えます。
「トイレを我慢しないためにも、まずは排便に対する羞恥心をなくしましょう。便意がない、便意がとぼしい人は、食後など出やすい時間に、トイレに行く習慣をつけることもおすすめです」