俳優という職業も、見た目で人を騙すことができる。言い方は悪いが、ある意味その道のプロではないか。でも、内野さんは、「俳優にとって見てくれはある一つの効果に過ぎない」と断言した。
「演じるときに大切なのは、見かけよりももっと内部のことです。大げさに言えば“魂”みたいな部分。そこをたくさん掘りさげて、熟成させることができれば、坊主頭で衣装はTシャツにジーパンだとしても、フランス人外交官ルネ・ガリマールとして成立するはず。基本的には、内部から出てくるものをどう磨いていくか。僕が役者としてするべきことはそれに尽きます。だから“ふりをしている”意識というのは、僕にはないです」
>>【後編】内野聖陽が目指すのは「二百変化」 新しい役への挑戦に「闘志がめらり」
(菊地陽子、構成/長沢明)
※週刊朝日 2022年6月11日号より抜粋