「センバツ基準改革案」を緊急提言
高校野球は変わるべき時に来ている
私は独自に、センバツのガイドラインを考えてみた。高校野球を新しい方向に導こうとするなら「文武両道」は基本だ。勝負だけでなく、野球を通したさまざまな活動の展開を奨励する。プロが注目するような一部のエリートが厚遇される大会でなく、全ての球児の目標になり得る大会のあり方を目指すことが重要ではないだろうか。
言い換えれば、夏の選手権に対して、春は新しい高校野球を模索する発表会(ショーケース)にするということだ。能力主義、勝利至上主義から、友好、親善、高校野球を通して学べることの可能性を追求する舞台とする。そのための「センバツ基準改革案」の一例は下記の通り。
◇春のセンバツ「選考基準」案
1)常識にこだわらない、自分たちなりの野球を追求しているチーム
例:ファーストストライクは絶対に打つ、監督はサインを出さない、9人が1イニングごとに
守備位置を変える、部員全員が交代で試合に出場する、など。
2)独自の野球普及活動を継続的に行っているチーム
例:地域の小中学生への野球指導、中高年チームとの交流、海外への用具の支援など
3)単独または他校野球部と協力して、社会貢献的活動を行っているチーム
(町の掃除などのボランティアは対象外。野球に関連する活動が基本)
例:地域リーグ戦の開催、他地区の条件の近い高校との親善試合の開催など
4)選手が監督とともに主体的に活動計画の策定を行っているチーム
5)前年度地区大会の一定程度の成績
6)過去2年、出場していないチーム(連続出場はできない)
◇春のセンバツ「選考の推奨条件」案
必須ではないが、望ましい方向性
1)部員数が40人以下のチーム
2)監督の連続在籍年数5年以内(監督の長期政権は支配的な関係の温床になりがち)
3)丸刈りの選手が全部員の25%以下
4)前年度大会でベンチ入り選手ほぼ全員が出場しているチーム
5)前年秋の大会で4人以上の投手が登板したチーム
6)試合時間が短いチーム
7)監督が怒鳴らない、選手が汚い言葉を使わないチーム(相手チームへのやじは論外)
読者に異論もあるだろうが、発想転換の一助と理解してもらえたらうれしい。全体として伝えたいのは、センバツの改革によって、高校野球が大きく変わり得るということ。そしてもちろん、高校野球は絶対に変わらなければいけない現状にあるという事実だ。
開催時期一つ取っても、オフシーズンから明けてすぐの春休み中でなく、新入生も加えた春か初夏がふさわしいと思う。
センバツを変える、高校野球が変わる。高校野球が変われば日本のスポーツが変わる。それくらいの使命感を持って取り組めないものだろうか。そういう気概のない方々には総退陣していただく時期だと考える。
(作家・スポーツライター 小林信也)