遼の視界は開けているのか

 今回はとくに誰も全英出場を決められなかった。ちょっと残念ですよね。不思議な感じですね。なんでなんだろう。リンクスっていったってイギリスみたいなリンクスじゃなくて池も絡んでますし。そういうところが日本人の弱い部分が出ちゃうのかな。

 日本ツアー3勝目のビンセントは非常にロングヒッターで、初優勝してから勝ち方を覚えたというか、自信になったんでしょう。ここ最近は優勝争いすると強いですよね。遠い国から来て、4月にお子さんが生まれてね。家族も増えたということで、余計にモチベーションが高まったのもあるかもしれないですね。彼を見てると、オールマイティーにいいプレーをする選手だと思います。

 石川遼(30)はトップに6打差の7位で最終日を迎えました。しかし2バーディー、3ボギーの73と伸ばせず、21位。14年以来の全英出場はなりませんでした。

 遼の場合、スイング改造がどの段階にあるのかですね。成績が出ないことにストレスを感じてるのは遼ですから。何かしらの突破口があるといいなと思って見てますけどね。あまりにも大幅なチェンジなんで、そんなに簡単じゃないと思います。どういうところを目指してるのかが、ちょっと僕ら玄人から見るとよく分からないというか。

 30歳といえばゴルファーでいうと、一番脂がのってよくなるところなんですけど、彼の場合はもう初優勝から15年ですか。注目されるが故に苦しいのも分かる。ビジョンを明確にして頑張ってほしいですね。

丸山茂樹(まるやま・しげき)/1969年9月12日、千葉県市川市生まれ。日本ツアー通算10賞。2000年から米ツアーに本格参戦し、3勝。02年に伊澤利光プロとのコンビでEMCゴルフワールドカップを制した。リオ五輪に続き東京五輪でもゴルフ日本代表監督を務めた。セガサミーホールディングス所属。

週刊朝日  2022年6月17日号

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