増田氏が「こういうのではない」と言うイメージ図。財政制度分科会がまとめた提言「歴史の転換点における財政運営」より
増田氏が「こういうのではない」と言うイメージ図。財政制度分科会がまとめた提言「歴史の転換点における財政運営」より

 増田氏がそうした取り組みを進めようとする考えの根底にあるのは、今後さらに進んでいくという人口減少だ。増田氏は14年に『地方消滅』(中央公論新社)を出版した。10年の国勢調査のデータをもとに、40年までに全国896の自治体が消滅する可能性があると指摘し、大きな注目を集めた。20年に新たな国勢調査があり、現在、分析している。この結果をもとに自治体ごとにどのくらいの人口が減るかの予測が出るのが、来年の3月という。

「『地方消滅』のときと比べて、来年出てくる数字ははるかに厳しい数字と考えています。中山間部では高齢者が多く、住まいが点在していると、特に冬場に生活が厳しくなる。大きなテーマとして、人口が減少していくなかで、どう都市のコンパクト化を進めていくかというのがある。付随的な話として除雪費の削減につながるかもしれない。いろんな知恵を出して、この状況にどう対処するのか、考えていかないといけない」(増田氏)

 また、財務省の示している解説については、こう補足する。

「財務省の資料では中山間部からビルの立っている街の中に集住するイメージを描いていますが、こういうのではない。中山間部にいる人たちがまったくなじみのない場所に移るということではなく、これまでも訪れたり、通っていたりする地域に、数カ月の間だけ移るということを考えないといけません」

 分科会の提言が公開されると、ツイッターでは、<豪雪地帯で家を無人にしたら潰れることを知らないのか><現地で仕事をしている人はどうなるのか><積雪地方は住めないと国から認定されたのか>などと批判的な投稿が多く寄せられ、1万件以上の「いいね」がつくツイートもあった。

 まだまだ議論が必要だ。

(AERAdot.編集部・吉崎洋夫)

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