柳田は今年の5月20日に通算1000三振を記録したが、同月3日に通算4000打数にも達し、生涯打率ランキングはリー(ロッテ).320、若松勉(ヤクルト).319、張本勲(ロッテほか).319、ブーマー(阪急ほか).317、青木宣親(ヤクルトほか).317に次ぐ史上6位に顔を出した。

 01年以降の首位打者をみてみよう。2度首位打者のタイトルを獲得している福留孝介(中日)は、柳田と似た打撃成績を残している。02年は96三振ながら打率.343、06年は94三振ながら打率.351、特に06年は31本塁打を放っている。

 ちなみに2リーグ制後の三冠王は、野村克也(南海)が1度、王貞治(巨人)が2度、ブーマー(阪急)が1度、落合博満(ロッテ)が3度、バース(阪神)が2度、松中信彦(ダイエー)が1度。三冠王獲得時のシーズンでは全員が100三振未満と、三振は多くないのだ。山田哲人(ヤクルト)の「トリプルスリー」達成時は、3度ともシーズン100三振以上を喫している。そして首位打者は獲得していない。

「三振は多いが、打率は高い」柳田は異色の打撃スタイルであり、「三振の延長が高打率」というタイプの打者なのかもしれない。

 過去、1951年に「シーズン最少三振6」の記録(300打数以上)を持つ「打撃の神様」川上哲治(巨人)は打率.377で首位打者(15本塁打)。97年に「連続打席無三振216」の記録を持つイチロー(オリックス)は打率.345で首位打者(36三振、17本塁打)。

 2001年以降の首位打者では、小笠原道大(日本ハム)が02年に打率.340(77三振、32本塁打)、03年に打率.360(65三振、31本塁打)。鈴木誠也(広島)が19年に打率.335(81三振、28本塁打)、21年に打率.317(88三振、38本塁打)で、「三振はそれなりにあって、本塁打と打率を残せる」タイプ。吉田正尚(オリックス)は20年に打率.350(29三振、14本塁打)、21年に打率.339(26三振、21本塁打)で「三振は少なく、打率を残せる」タイプといえるだろう。

「三振の延長が高打率」である柳田は、ますますもって異色の好打者だといえる。(新條雅紀)