しかし彼が密かに生み出したAI「スノウ」(7年前に亡くなった友人をAI化したもの。女子高生の姿をしている)は、その変化を許さない。
アニメ的展開も、たびたび映し出される海や山、美しいロケ地・佐世保の風景が現実味を生む。特に印象的なのはAI「ソロン」の3本の塔だ。
てっきりCGだと思いきや、これが実在する針尾送信所の無線塔であることに驚いた。太平洋戦争で暗号電文を中継したとされるこの塔は、まるで日常と異界をつなぐような特殊な存在感だった。
常に隣で真木を支えてきた内閣官房副長官・平(星野源)。政治の清濁を知る彼が、最後に真木にこう語りかける。
「何かを得る代わりに、大切な何かを失っていく。それでもまだ青い夢を追いかけることはできる」
まっすぐで青い理想。どんな大人にもあった17才という季節。リアルに沈みゆくこの国には、そんな高2病(17才)イズムが必要なのかも。
カトリーヌあやこ/漫画家&TVウォッチャー。「週刊ザテレビジョン」でイラストコラム「すちゃらかTV!」を連載中。著書にフィギュアスケートルポ漫画「フィギュアおばかさん」(新書館)など
※週刊朝日 2022年6月24日号