背中を通過する危険球といえば、02年7月25日の阪神vs巨人でも同様の光景が見られた。

 7回2死、阪神の4番・アリアスに対し、入来祐作の初球がすっぽ抜け、背中を通過する大暴投になった。

 激怒したアリアスが暴言を吐きながらマウンドに向かうと、入来も逆ギレし、グラブを地面に叩きつけて挑発した。

 アリアスが入来にパンチを1発浴びせたのを合図に、両軍ナインが一斉に飛び出し、大乱闘になった。ベンチ裏で針治療をしていた清原和博がアンダーシャツ姿で遅ればせながら乱入すると、阪神・星野監督がその胸ぐらを掴み、怒声を張り上げるシーンも見られた。

 この騒動にも、伏線らしきものがあった。巨人は3連戦初戦の23日に清原、この日も7回表に阿部慎之助が死球を受けていた。状況的にアリアスが「報復で狙われた」と思うのも無理はなかった

 入来にしても、問題の1球が「すっぽ抜け」で不問に付されるはずだったのに、自ら進んで応戦したことがアダとなり、一転“危険球認定”で、アリアスともども退場になってしまった。

 外国人打者が危険球に怒った話が続いたが、その一方で、外国人投手が逆ギレするシーンも珍しくない。

 96年5月1日の中日vs巨人では、5回にガルベスが山崎武司の頭付近を通過する危険球を投げた直後、マウンドに向かってきた山崎を、グラブを外した左手で殴りつけた。

 喧嘩両成敗で2人とも退場になると、ガルベスは先に手を出しておきながら、「殴りかかってきたのは向こうなのに、何でオレが退場になるんだ?」と大むくれだった。

 04年9月9日のダイエーvsロッテでは、セラフィニの背中付近を通過する危険球に怒ったズレータがヘルメットを投げつけてマウンドに突進すると、セラフィニも頭突きや飛び蹴りで応戦し、プロレスも顔負けの流血戦が演じられている。

 後年、捕手の里崎智也がラジオ番組で明かした話によれば、前の打席でズレータに一発を浴びたセラフィニがベンチにいるときに「乱闘、見たいか?」と予告したうえで、ズレータに危険球を投げ、本当に乱闘を起こしたといわれる。

 本塁打を打たれた腹いせに喧嘩を売るなんて、逆ギレどころの話ではない?

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松坂が新人時代に見せた“強気な態度”