サッカー日本代表は6月の強化試合で2勝2敗。最終戦のチュニジア戦では完敗した。 11月開幕のワールドカップに向けて、強化試合はどんな意味を持っていたのか。AERA 2022年6月27日号の記事から紹介する。
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「森保解任」
その文字が、サッカーのワールドカップ(W杯)カタール大会まで半年を切った時期にまた、ツイッター上であふれる事態になった。
6月14日夜、大阪・パナソニックスタジアム吹田(パナスタ)で行われた国際親善大会、キリンカップ決勝。日本はチュニジアと対戦した。くしくも20年前のその日、日本はW杯日韓大会1次リーグでチュニジアと対戦(大阪・長居スタジアム)。2-0で勝利し、W杯初の決勝トーナメント進出を決めた記念すべき日だった。
ただ、この日は0-3の完敗。W杯出場国とはいえ、世界ランキングは日本の23位に対し、チュニジアは35位だ。2週間で4試合をこなした強化試合の最終戦。11月に開幕するW杯本大会での活躍を不安視されてもしかたがなかった。
それでも、森保一監督(53)は動じていなかった。翌朝、大阪市内の宿舎で、十数人の報道陣に対して言い切った。
「何かを劇的に変えなければいけないということは、考えていません」
確かに、チュニジア戦はよくある完敗パターンにはまっただけという見方もできる。自陣中央を固めて少ないチャンスでゴールを狙う、堅守速攻型の相手の思惑通りの試合だった。
「自分が決めていれば、全然違う内容になったと思う。自分が入れていればという話だけ」
確かに、MF鎌田大地(25)の言う通りだ。前半、ゴール前で横からのパスをフリーで受けた決定機を外していた。
むしろ、W杯に向けた危機感を深めるうえでは、意味のある惨敗だったのかもしれない。
■お粗末なミスで失点
後半10分の失点。チュニジア陣内から出た長い浮き球に対し、無理に相手より先に触ろうとした左DFの伊藤洋輝(23)がクリアできなかった。結果、相手がフリーに。DF吉田麻也(33)はカバーに行こうかどうか迷ったのか、マークしていた相手FWから一瞬目を離した。その隙に縦パスを通された。慌てて追いかけて相手を倒し、先取点となるPKを献上した。