「ここで働き続けるのは厳しいかも」
4月に入社した会社で、あるいは異動した部署で、そう感じている人は少なくないのではないか。大きな環境の変化から2カ月が過ぎた6月は、思考が後ろ向きになったり、やる気が出なくなったりしがちな時期だ。「自分はなぜ、ここに入ってしまったのか」と入社を後悔している人。異動先の職場で活躍するはずが、当てがはずれて空回りしている人。そんな時こそ、「引き寄せの法則」を思い出してほしい。
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どんな人も、「これは何かの力が働いて引き寄せられたとしか思えない」という体験が一度や二度はあるだろう。「引き寄せの法則」は簡単に言うと、ポジティブな思考はポジティブな体験を、ネガティブな思考はネガティブな体験を引き寄せるという考え方で、20年ほど前に世界中で大流行。以来、量子力学、心理学、スピリチュアルなどさまざまな文脈で語られてきた。
これまでに1万人の脳を見てきたという脳内科医・医学博士の加藤俊徳さんは、脳科学の視点でこの「引き寄せの法則」について探究してきた結果、こう話す。
「引き寄せる力は脳にあって、その力は脳でもっと強くできると考えています。仕事、人生において、あらゆる場面で大切なのは自分の脳の引き寄せ力です」
その理論は新著『イラスト図解 脳ドクターが教える 脳とココロの引き寄せルール』(朝日新聞出版刊)に詳しいが、ここでは、「引き寄せ脳」を作るために知っておかなければならない「脳番地」という考え方について解説したい。
「脳には、右脳と左脳に60ずつ、全部で120の脳番地があり、望みを決定する、チャンスを逃さないなど、引き寄せに必要な機能を持った各脳番地が連携して働いているんです」と加藤さん。
120の脳番地はその機能系統によって、「思考系」「感情系」「伝達系」「理解系」「運動系」「聴覚系」「視覚系」「記憶系」の八つにまとめることができる。脳の神経細胞は複数の脳番地をつないでネットワークを形成し連携して働くため、そのネットワークが緊密であればあるほど脳のパフォーマンスがよくなり、結果として引き寄せ力が強くなるという。