今年も猛烈に暑くなりそうな予感がする、夏。テレビ各局がしのぎを削る「夏ドラマ」戦争も、熱く燃え上がろうとしている。目ざとい視聴者たちの注目を集めるのはどの作品か。
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「僕がこのドラマを見たいなと思う最初の基準は三つ。キャスト、脚本家、そしてスタッフ陣です」
と語るのは、テレビドラマに詳しいメディア文化評論家の碓井広義さん。2022年の夏ドラマで、その三拍子がそろっているという意味で、碓井さんが最も注目するのが、TBS系金曜ドラマ「石子と羽男─そんなコトで訴えます?─」。東大卒のパラリーガル「石子」と高卒弁護士「羽男」の凸凹コンビが、<誰にでも起こりうる珍トラブルに挑む異色のリーガル・エンターテインメント!>(公式サイトから)だ。碓井さんはこう語る。
「有村架純と中村倫也のダブル主演。有村は地上波の連続ドラマでは、20年秋の『姉ちゃんの恋人』以来、久しぶりの主演でまず期待したい。脚本家の西田征史さんは朝ドラ『とと姉ちゃん』や、『怪物くん』『妖怪人間ベム』などのヒット作を手がけた。そしてプロデューサーの新井順子さんは『アンナチュラル』や『Nのために』、さらに有村さんが禁断の恋に挑戦し話題となった『中学聖日記』などを手がけています。この布陣で東大卒のパラリーガルと高卒弁護士が解決する珍事件をどう描くのか。見る前から楽しみな作品です」
ドラマ評論家の吉田潮さんが注目しているのは、日本テレビ系の土曜ドラマ「初恋の悪魔」だ。
「『カルテット』『大豆田とわ子と三人の元夫』を手がけた坂元裕二の脚本にまず注目ですね。キャストは林遣都と仲野太賀のダブル主演に、松岡茉優と柄本佑という実力派で固めてきた。訳ありが力を合わせる刑事モノコメディーという設定自体に物珍しさはないですが、坂元裕二はそれでも新しい見せ方を提供できる人だと思うので期待したい。田中裕子の存在感も気になるところです」