占い師、作家 しいたけ.
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 AERAの連載「午後3時のしいたけ.相談室」では、話題の占い師であり作家のしいたけ.さんが読者からの相談に回答。しいたけ.さんの独特な語り口でアドバイスをお届けします。

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Q:結婚10年目。出会った頃の恋愛関係に変化あり。最近は、家事育児に追われ、夫は40代半ば、会社での責任も増え多忙。夫婦で顔を合わせ話す時間がほとんどなくなっています。話す時間が持てても、子どものことが中心。私自身は、お父さん、夫としてだけでなく人同士として関係を成熟させていきたいと思っており、なんだか物足りなさを感じます。(女性/会社員/39歳/てんびん座)

A:いただいた文章、僕はすごく好きで、大人の寂しさみたいなものがにじみ出ている文章だと思いました。

 大人になると何でも話せる相手は限定されていきます。友達や同僚でも立場が変わってきてしまうし、話せることと話せないことが出てきてしまう。それは僕自身が大人になって寂しかったことの5位以内に入るかもしれません。

 一般的に夫婦関係やパートナー関係は、チームであり戦友なわけだから、そこで共有ができないことで寂しさを感じてしまうのも容易に想像ができます。

 二つお伝えしたいと思うんですが、やっぱり旦那さんにはもっと話に付き合ってもらったほうがいい気がします。自分一人でなんとかしようとするより、お子さんがいるならお子さんも巻き込みながら、「お父さんといろいろ話をしたいのよ」「お母さんがいろいろ話したいらしいよ」って一緒に作戦を立ててやっていってほしいと思います。

 一般的に男性に何かお願い事を伝えたい場合は「もうちょっと私の話す練習に付き合ってほしい」とか「もう少し私はあなたと仲良くしたい」のように目的を伝えるのがいいと思います。そうすると向こうもそのプロジェクトに付き合ってくれやすい。目的を伝えないと「えー、なんで」となる人も多いです。

 もう一つお話ししたいのが、大人になった時の価値観の変化について。大人になると「何も起こらないことがいいこと」になりがちだと思うんです。トラブルが起きればそれに対して時間を割かなきゃいけないし、面倒くさいことが増えるから。そして生活の中での時間の使い方や一緒にいる人、やらなきゃいけないことが良くも悪くも固定化します。一方の人間が話さずに自己処理をしてしまうと、無理にそのシステムを変えようとはしなくなります。

 その壁は、意識してどこかで壊していかないと、どんどん強固になっていきます。

 てんびん座は、もしかすると一人の人とすべてを共有することが苦手な人たちかもしれません。

 例えば恋人に見せる姿、親友に見せる姿、など結構使い分けをする人が多い。でも使い分けをすることによってその人との会話がパターン化してしまう。恥ずかしくて苦手意識があったとしても、その人の前ではあまり話したくないこと、例えば自分の愚痴とか弱音とかを話す練習はした方がいいです。いろんな仮面を使い分けてしまうことで苦しさを抱えるてんびん座が多いから、要注意です。

◎しいたけ./占い師、作家。早稲田大学大学院政治学研究科修了。哲学を研究しながら、占いを学問として勉強。「VOGUE GIRL」での連載「WEEKLY! しいたけ占い」でも人気

AERA 2022年6月27日号

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