そして、再びペブルビーチで行われた今年のPGAツアー(AT&Tペブルビーチ・プロアマ)でもう1つのエピソードが生まれた。スピースが危険な崖の上から左足下がりの状態でのショットをしようとした際にグレラーは「3回は止めようとした」というが、結局スピースはショットを敢行。幸いに事故が起こることもなかったが「次に同じことがあったら、ボールを手に取って海に投げ込む。そうすれば打てないだろう」とグレラーはパートナーを思いやる気持ちを見せている。スピースもグレラーの忠告を聞き入れなかったことを「後悔している」と語るなど、2人の現在の関係性が良好であることがうかがい知れる。
一方で悲しい別れの道を歩むこととなったコンビもいる。オーストラリア人ゴルファーのロバート・アレンビーは2015年のPGAツアー、RBCカナディアンオープンのラウンド中にキャディのミック・ミッドルモを解雇した。
発端は、前半13番のパー5でアレンビーがクリークに入ったボールを打とうとした時にクラブをミスジャッジし、最終的にトリプルボギーとなってしまったこと。その後ハーフターンした際にアレンビーは、ラウンド途中にも関わらずミッドルモに解雇を言い渡した。
ホールアウト後、アレンビーは「3~5カ月にわたって、毎週のように同じようなミスが起きていて、キャディが助けになっていなかった。挙句、彼は私に『勝手にしろ』と言ってきた。だから、彼に『キャディをやる資格はない』と話したんだ」と釈明。
一方ミッドルモも「クラブ選択の議論で怒りを買ってしまい、悪いキャディだと言われた」と怒りを吐露。容姿を侮辱するような発言もあったようで、「超えてはいけない一線があると思う」とコメントしている。
完全な喧嘩別れとなってしまった両者。そのラウンドの後半は、名乗り出たギャラリーがバッグを担いでプレーをしたが、9オーバー81でホールアウトし、その後棄権する結果となった。
プロゴルフの世界において、ゴルファーはキャディを雇用する立場。当然、キャディが“出過ぎたこと”をしてはいけない。しかし、ゴルファーにとってキャディはプレー中に唯一アドバイスを求めることができる大切な相手でもある。バッグを運ぶ雑用係ではなく、二人三脚のパートナーとして優勝を目指すのが本来あるべき姿だろう。