故・立川談志にかけられた言葉が忘れられない
「あなたは何がしたいの? 本気で、って感じるんです。人に認められたいの? それとも自分がしたいことがあるの? だから今回のこの本は、ビジネスマンの皆さんにも自分の職業と重ね合わせていただいて、読んでもらえればと思います。世間には、英語もできないのに何バカやってんのと思われていていい。なんなら、ピース綾部は知らなくてもいい。アメリカに単身で渡って、何を見たの、何を考えて、どう変わったの、と。海外に住むと見えることって、ビジネスマンの皆さんにもありますよね」

日本での芸人時代は“チャラい”キャラクターで自己ブランディングしていた綾部だが、彼は自分の人生に言い訳をせず、常に本気だ。まだ又吉とピースを組む前、ピン芸人として進退に迷いながら活動していたころ、2002年のM-1の前説を仰せつかって楽屋挨拶に行った生前の立川談志からかけられた言葉があるという。「お前、いい目してるよ。絶対売れるから、辞めるんじゃねえぞ」。滅多に人にそんなことを言わない談志のその言葉を、綾部は「続けていける、というサインなんだろうな」と受け止めた。「実家の母にも言われたんです。私があなたを産んだときから運命は決まっている。全部必然、偶然はありません。だから、起きたことはすべて受け入れて進めばいい、と。すごく納得しているんですよね」
綾部祐二45歳、ニューヨークを離れ今度はロサンゼルスで戦う。自分に起こることも、自分が起こすこともすべて必然。ならば、人生の挑戦に遅いということはないのかもしれない。