Photo by Yuji
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 2016年に突然アメリカ・ニューヨークに渡った人気お笑い芸人のピース・綾部祐二。「人気絶頂なのに日本のキャリアを捨てるのか」「英語もできないのに?」と周囲はいぶかったが、本人は一切詳細を語らなかった。渡米の目的は? 40歳から異国で何を目指しているのか? 5年間、なぜ何もメディアに語らなかったのか? 英語ができない状態で渡米して、仕事はどうしているのか? オンライン取材で直接本人に話を聞くことができた。(コラムニスト 河崎 環)

「とんでもないことをした」
という意識はなかった

 日本のテレビ画面から姿を消して以来、約5年。お笑いコンビ「ピース」綾部祐二が、エッセイ集『HI, HOW ARE YOU?』(KADOKAWA)出版を機に、ついに日本に向けて口を開いた。最近引っ越したというロサンゼルスの自宅からオンライン会議をつないだ綾部祐二は、あの頃のままの精悍な顔立ちで柔らかく笑った。「ぼくとしては、あんなに世間やネットニュースで大騒ぎになったような、“とんでもないことをした”という意識はなかったんですよ。だけど行ったら5年は日本に帰りません、語りませんと、それだけ決めていたんです」。その口調は、舞台やお笑い番組で早口で畳み掛けていたあの頃よりも余裕を感じる、成熟した大人の男のそれだった。綾部は今年45歳になる。

 レギュラー番組を9本抱え、人気の絶頂にあった2016年。「天狗になってる」などとお笑い仲間からはイジられ、年収は自分史上最高。ピースのツッコミ担当だった綾部祐二は、そんな時に突然「ハリウッドスターになって、レッドカーペットを歩く」と活動拠点をアメリカに移すことを発表。「英語もできないのにアメリカ?」「ようやるわ」「さすが自分大好き」「ミーハーも大概にせえよ」「けどまあ、綾部らしいよな」と、世間は大いに沸いた。ちょうど前年の秋、ボケ担当である相方・又吉直樹が『火花』で芥川賞を受賞した直後で、コンビ間の知名度や存在感のバランスが崩れたということも要因の一つなのではないか、世間はそんなふうに噂もした。

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「20歳で東京、40歳でアメリカ」