そんなことを気にしてまで出す必要が?という見方をすれば、「年賀状じまい」が高齢者だけでなく30~40代にまで広がっているのもうなずける。
■相手との関係性見極め
一方、「年賀状の文化を子どもに伝えていきたい」と考える親も少なくない。
現在2歳の息子がいる女性。受け取る年賀状は出した年賀状の半分ほどだが、それでも息子が小学校に上がる頃までは続けたいと考えている。
こうしたニーズを見込んで年賀状印刷事業に携わるフタバ(名古屋市)は2023年用から子ども向けの「はじめて専用年賀状」を発売した。同社が小学生とその親を対象に行った調査によれば、年賀状を出したいと思っている小学生は81.2%、自分の子どもに年賀状を出してもらいたいと思っている親は72%の結果になったという。
「調査では年賀状を出す理由として『もらったら嬉しいから自分も出す』という回答が多く見られました」(同社常務取締役の市川宗一郎さん)
だからこそ、儀礼的に出していた分は減っていっても、年賀状文化自体はなくなるものではない、と考えている。
「SNSでつながっていても、じゃあ昔の恩師にLINEを送るかといったら送らないですよね。年賀状だからこそつながっていられる関係性もあります。もうちょっと気軽に年賀状と付き合ったら気持ちも楽になるし、やりとり自体を純粋に楽しんでもいいのではないでしょうか」
市川さんによれば、年賀状じまい用のデザインと、通常のデザインの両方を購入する人もいるという。知り合いに一律大量送付する時代が終わり、相手との関係性を見極め、大事にしたい関係だけをしっかり育んでいくのが潮流なのかもしれない。 (編集部・高橋有紀)
※AERA 2023年1月23日号