illustration:土井ラブ平
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 受け取った年賀状の家族写真や旅行風景に心が乱されてしまう。そんな「年賀状マウント」の心配から、出す側もいろいろと気を使うようで──。AERA 2023年1月23日号より紹介する。

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 この年末年始、「年賀状マウント」なる言葉がネット上をにぎわせた。家族写真や旅行の写真、学校名の入った子どもの入学写真など、年賀状に入れた写真が、自慢と受け取られ相手に不快感を与えている場合があるので気をつけましょう、という意図で、テレビの情報番組が取り上げたのがきっかけだ。

 SNSでは「マウントだなんて思ったことない」「友達の子どもが生まれたと年賀状で知ると嬉しい」などの反応が見られた一方、「家族写真付きの年賀状だといろいろ気を使うから年賀状はやめた」という人も。

■不妊治療中に親友から

「マウントというよりあくまで自分自身の問題」と前置きしながらも、受け取った年賀状を見て号泣した経験があるというのは40代の女性。20代の頃は「かわいいな」「大きくなったのね」としか思っていなかったが、自身が適齢期になるとうらやましく思う気持ちが大きくなり、子どもの写真入りの年賀状を見るたびに「チッ」と思うように。

 特にきつかったのが、親友から届いた一枚。家族3人がふわふわの毛布に寝っ転がった幸せそうな写真。一方の自分は当時、不妊治療に通い、毎月注射を打っては、あぁ今月もダメだった、ということを繰り返していた。

「悔しくて、すごい泣きました。何もかも知っている昔からの友達なのに、その幸せも受け入れられないんだな自分は、と」

 当時は年賀状を返すこともできず、その間に届く年賀状も激減した。子どもができた今は親戚などに年賀状を出しているが、当時を思い出し、気を使う。

 さまざまな相手の事情に思いをはせ、配慮をする人もいる。奈良県在住の40代女性は、子どもの写真入りと、干支の絵柄のデザイン、2パターンの年賀状を毎年用意する。子どものいない家庭や、そこまで親しくない人には、写真なしのものを送る。10年以上前からの習慣だ。

「もともとお稽古事関連の年賀状を別に作る必要があって始めたのですが、40代になって結婚や子どものあるなしがさまざまになってきてからは意図して使い分けています」

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