
出発当日。ビジネス客らで満席のアシアナ航空機に乗り、成田空港から仁川空港へ。午後4時すぎに第1ターミナルに着陸し、ついに韓国の地に降り立った。まだ実感はない。
飛行機から降りて人の流れに沿って進んでいくと、列にたどり着いた。ここで、Q-codeを事前登録した人と未登録の人に分かれて並ぶ。登録済の人は読み取り機にQRコードをピッとかざして検疫係官にパスポートを渡すだけで、手続きは終了。陰性証明書も提示すると聞いていたが、このときは求められなかった。列に並んでからここまで10分足らず。コロナ前は素通りしていた検疫カウンターの場所に受付が設置されているので、動線は以前と変わらない。余計に歩き回ることもなく、とてもスピーディーだ。この後は入国審査に進み、飛行機を降りてから20分ほどで入国することができた。
荷物をピックアップして到着ロビーに出ると、コロナ前の記憶そのままの仁川空港が目の前に現れた。突然、胸がいっぱいになり、泣きそうになってしまう。到着ロビーで変わっていたのはテナントが一部入れ替わっていたことと、トイレがリニューアルされていたことくらいだ。そのトイレに思わず、「きれいになってる…!」「ほんとだ、明るい!」と他社のガイドブック編集者と盛り上がった。冷静に考えれば「トイレにそこまで?」という感じなのだが、“渡韓ハイ”になっていたのかもしれない(誤解なきよう伝えておきたいが、リニューアル前も清潔感のあるトイレだった)。

変わっていたといえば、横断歩道もそうだ。地面の点字ブロックの隣にLEDライトが埋め込まれ、信号と連動して赤や青に光るようになっていた。歩きスマホによる事故を防ぐ目的で、2019年から一部エリアに導入されていたものだが、実際にお目にかかったのは初めて。昼間でも明るく光り、下を向いていても信号の色がわかって便利だ。
その横断歩道を渡り、まずは空港の敷地内にあるPCR検査センターに向かった。韓国は、ワクチン接種の有無を問わず入国後の隔離が不要だが、入国後3日以内のPCR検査が義務付けられている。ソウル市内で検査機関を探すよりも空港で受けてしまったほうが楽だろう。今回は、「仁川空港第1ターミナルコロナ19検査センター(西)」を利用した。空港鉄道の建物にあって、ガラス張りの明るい空間だった。番号が呼ばれたらブースに入り、名前を確認されるとすぐに鼻の穴に綿棒を入れられ、あっという間に検査は終了。料金は8万ウォン。飛行機が着陸してからPCR検査まで、1時間程度で終えることができた。